寺田屋に宿泊中の竜馬と護衛の三吉は、おりょうが捕り物の強襲を知らせてくれたため、紙一重でその場から逃げ出すが、竜馬は傷を負ってしまう。動けない竜馬のために、一人、三吉は同盟関係にある薩摩藩邸へ走るが、彼の心には一抹の不安があった。
あの「寺田屋事件」の「もしも」を描いた歴史もの短編。徹頭徹尾、緊張感があり、歴史の転換点をこの目で見たかのような臨場感に心躍ります。
ここから時代が大きく変わるのだという境目では、かつての矜持やしがらみも払拭して、こちらも変わろうとする気概が必要なのでしょう。だからこそ、誰も通ったことの無い、真新しい道が開けていくのだと実感しました。