第37話   その後

僕とイケはいつもの日常、いつもと同じ、少し退屈な高校生活を送っている。

期末テストは、なんとか追試を受けずに2人とも済んだ。

帰還してすぐは、あのパウロの騎士候補のスカウトにのって異世界にいったこと自体が夢だと思い込もうとしたが、リサから預かったガラケー携帯を見て、本当だったんだと実感した。

あの日、学校の帰りに豊島区高松の住所に行った。確かにリサのお姉さんらしき人は、いたけど大学生ではなかった。もっと大人の女性だった。

彼女は携帯をみて、懐かしそうな目をした。

「このガラケー携帯、失くしたのはもう、10年以上前なの。今頃でてくるなんて。不思議ね。」

僕はリサのお姉さんに「妹のリサさんからです。」と渡した。

お姉さんは首を少し傾けた。「君達、届けてくれてありがとう。これは間違いなく私の携帯よ。でも、ごめんなさい。私に妹はいないの。でも、届けてくれて、ほんとありがとう。」

「どういたしまして。では失礼します。」

僕はイケと顔を見合わせた。

「予想はしていたが、やっぱりな。」

イケが「学校でも上崎のことを知る生徒は、先生も誰もいなかった。別の異世界に転移すると地球での存在はなくなってしまうのか。

なあ、二条、それって悲しくないか?」

「そうだな。悲しいな。はじめから存在しなかったことになるのか・・・」

僕は空を仰ぎ「そうだな。別時空空間でも同じ人物は同時に存在しない。できない。

リサも上崎も、今はもう、あちらの世界の住人だ。ケイゴも同じだ。」

イケが「そうだな。でも、どうして僕達だけ存在し、記憶が残っているんだ?」

「ウサギが別れ間際に記憶を残すって言ったんだ。」

「ウサギが、」

「まあ。記憶が残ることは、いいことだ。」

「そうだな。異世界のことは僕らの中だけで覚えていればいい。

イケ、お前と共有できてうれいしぞ。」

「なんだよ、それ。」

僕らは明日も変わらず学校へ通う。



あとがき

この地球には無数の電磁波が飛び交っている。

その電磁波は宇宙へ、そして別時空空間まで広がっている。

電磁波の情報は誰も管理していない。

無法地帯だ。

ネットの中の莫大な量の情報。

混乱する電磁波。

異世界からのスカウト、次は君の番かもしれない。 

選ぶのは君だ。


電磁波は今の今も流れ続けている。

END

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異世界からの騎士候補スカウト 京極 道真   @mmmmm11111

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