第8話 マグカップを買いに

 休日の昼下がり、僕と琴音は隣の街にある大きなショッピングモールに来ていた。


「やっぱり休日のこの時間だと人が多いな。家族連れとかカップルとか沢山いる」


 人の多さを目の当たりにした僕はそう独り言を呟く。


「まだまだ新年度始まったばかりで新生活セールとかしてるお店があるからじゃないかな、お兄ちゃん? 」


「言われてみればそうだな、琴音の言う通り新生活セールのせいかも」


「じゃあ私たちも用事を済ませに行くよ! まずは雑貨屋さんだ〜! 」


「わかってるよ、じゃあ早速向かいますか」





 雑貨屋についた僕と琴音は用事を済ませるべく店内に入る。


「お兄ちゃん見て見て! このリボンの髪留め可愛くない?! 」


「赤と銀の組み合わせか······確かに琴音にぴったりの配色だな。買うのか? 」


「んー······買いたいけど今月のお小遣い結構カツカツだからなぁ······パスかな······」




「お兄ちゃん! この伊達メガネかけてみて! 」


 琴音から伊達メガネを渡されたのでとりあえずかけてみる。普段眼鏡をしないので違和感がある。


「か······かっこいい! かっこいいよお兄ちゃん! 眼鏡すごい似合ってる!! 」


 どうやら琴音は大絶賛のようだ。自分の眼鏡姿には違和感がかなりあるのだが、琴音がそう言うのであれば本当に似合っているのだろう。眼鏡をかけただけなのに何故か自分が知的な感じに見える······せっかく大学生になったのだからイメチェンということで買ってみても良いかもしれない。




「お兄ちゃん! このクマのぬいぐるみ可愛くない?! 」


「お兄ちゃん! リュックおしゃれで可愛い! 」


「お兄t······」


「琴音一回落ち着け! 僕らはまず最初に見るべきものがあるだろ······? 」


「はっ?! ごめんお兄ちゃん······雑貨屋さんが楽しすぎて忘れてた······」


「思い出したならいいよ。 んで、僕らは何を買いに来たのかな? 琴音? 」


「はい! 私たちはマグカップを買いに来ました! 」


「その通り! じゃあまずはマグカップを見に行くよ。マグカップを選んだら好きにして良いからさ」


「は〜い! 」




 そうして僕らはマグカップのコーナーにやってきた。そもそもなぜマグカップを新しく買いにきているのかというと、琴音がマグカップを洗っている時に落として割ってしまったからだ。割れたのは琴音のカップであり、琴音の分だけ買えば良いかと思っっていたが、琴音がお揃いが良いと言うので僕も新調することになった。


「おお〜沢山の種類がある! ペアのデザインもいっぱい! 」


 棚に陳列しているさまざまなマグカップを見てはしゃぐ琴音。


「琴音は欲しいデザインとか決まっているのか? 」


「とりあえずペアデザインが前提だよね! 形にはこだわりないけど、色は桃色があるといいかな〜」


「前のカップも桃色だったし、琴音は桃色好きだもんな。僕は特にこだわりないから琴音が気に入るデザインを選んでいいよ」


「わかった! どれにしようかな〜あれにしようかなーいやでもこれもいいなぁ······むむむ」


 琴音がマグカップで悩んでいる間、僕も少し良さそうなマグカップを探してみることにする。




 数分後、琴音がカップを二つ抱えてこちらにやってきた。


「お兄ちゃん決めたよ! これでどうかな······? 」


 そう言って琴音は選んだマグカップを見せてくれた。片方は白が基調で側面に桃色の桜が描かれていて琴音が気に入りそうなデザインだった。もう一つは僕の分で、同じく白基調に水色の雨模様が描かれていた。


「良いデザインじゃないか? 色も前に使っていたカップと変わらないから間違えないと思うし」


「そうだよね! 私もこれを見た瞬間ビビッときたんだよ〜 」


「んじゃあお会計してくるから琴音は待っててくれ」


「は〜い」


 そう言って僕は琴音と別れ、カップを買うためにレジへ。すると途中で琴音が欲しがっていたリボンの髪留めが目に入った。······お金には余裕あるしプレゼントしてあげるか。




 お会計を済ませ、お店の前にいる琴音と合流する。


「お待たせ琴音」


「大丈夫だよ〜お会計してくれてありがとねお兄ちゃん! 」


「どういたしまして。そうだ琴音、これプレゼントね」


 僕は琴音に小さな包みを手渡す。


「? 今これ開けていい? 」


「ああ、いいぞ」


 不思議そうな表情で包みを開ける琴音。中に入っている髪留めを見た瞬間、琴音はとても幸せそうな顔をこちらに向けた。


「お兄ちゃん······ありがとう! 大切にするね······! 」


「お金のことなら気にしなくて良いからな? 大切に使ってくれれば良いよ」


「うん!! 」


「じゃあこのあとはミ◯ドでドーナッツ買ってから帰ろうか」


「え?! やったぁ! 何個買っていいの? 」


「二個だな」


「わかったじゃあ早く向かおう! 」


 琴音に袖を引かれて僕らはミ○ドに向かった。




 ____________________________________________________________________________

 第八話を読んでいただきありがとうございます!

 忙しい日々が始まってしまったので更新が一気に遅れてしまい申し訳ございません······。ここから本当の不定期更新ですが、休日しか書けそうにないのでむしろ週一更新で定期になってしまうかもしれません(笑) これからも読んでくださると嬉しいです! 

 ♡やフォロー、コメントをしていただけるとモチベーションになるのでお願いしますm(_ _)m

 それでは第九話でお会いしましょう!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

妹と兄の日常 桜残り @march9th

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ