第12話

ーー国王陛下視点ーー


 この前食事会で会った貴族令嬢、すさまじい巨乳だったな…あの者を次の側室に…


「陛下!!!!大変にございます!!!!!!」


 やけに騒がしく、名前も覚えていない臣下が声を上げる。


「うるさいな、一体何事だ」


「周辺国が一斉に、本国を訴えてきました!!!!!」


 …ん?、このものは何と言ったか?


「は?、訴え?、誰が?、誰に?」


 私の疑問に、その者ははっきりとした口調で告げる。


「本国の周辺国を中心とした、七か国からなる連合国が、本国を訴えました!!!!」


 私は思わず手にしていた令嬢の肖像画を床に落とす。


「…ほんと?…ほんとに?」


ーーーー


「本当に、これでよかったんだな?シャルク」


「…」


 神妙な顔で、王国崩壊の記事を見つめるシャルク君。

 結局私たちは、王国帳簿及び裏帳簿、そしてリルアから入手した国王指令書の全てを、周辺国と王国民に告発した。それらを見れば、国王が無茶な政策を行い、臣下を振り回し、挙句に暴走した王国は、周辺国と国民を欺いて多額の金をだまし取ったということが全て分かる。私たちの予想通り、あれから王国は崩壊し、今は臨時政府が内政を仕切っている。王宮にいた人間は皆職を失い、それはジャックもシャルク君も例外ではなかった。…けれども私たちは今、臨時政府にいて政治にかかわることができている。それは私たちが正義の告発者として皆に認められ、この国の未来を託すに値すると信じてもらえたからだった。

 一方で国王はその責任を問われ、国内中を休憩なしに行進させられたげく、最後は首を切られることとなった。これをもって、責任者たちへの追及は幕を下ろした。

 …けれどシャルク君の愛した王国は、結局救うことはできなかった。…にしては、どこかすっきりした顔をしているような…


「僕は大丈夫ですよ。別に僕は、王国自体に執着していたわけではありませんし…」


 シャルク君のその言葉に、ジャックが疑問を投げる。


「ん?どういうことだ?」


「秘密です♪」


「??」


ーーシャルクの記憶ーー


「ふ、不正処理だなんて、そんな事絶対にダメですよ!!!」


「あら…いいの?あなたの大好きなミリアが全力で守ろうとしたこの王国が、滅んじゃうかもしれないのよ?」


「!?」


「残念ねえ。彼女あんなに頑張っていたのに、それが無駄になってしまうだなんて…」


ーーーー


 シャルク君の真意は分からないけれど、気持ちの整理ができたのなら、良かったかな。

 そんな時、不意にシャルク君が強気に口を開く。


「ジャックさん、僕はまだあきらめてませんから」


「あ、諦めてないって、王国の事をか?」


「さあ、どうでしょうか」


 そう言い、ジャックをにらみつけるシャルク君。…なんだか、今まで以上に激しい争いが起きそうな気がするんだけれど…


「僕は絶対、ものにしてみせますから!!」

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仕事ができないと王宮を追放されましたが、実は豊穣の加護で王国の財政を回していた私。王国の破滅が残念でなりません 大舟 @Daisen0926

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