夕雪のゆるっと読書録

40 北斎漫画(葛飾北斎)

　北斎漫画／葛飾北斎／青幻舎、320ページ

　あの稀代の浮世絵師、葛飾北斎の描いた絵を文庫サイズ・全三巻にまとめた、コンパクトなのに大変なボリュームのある作品集。

　一巻は「江戸百態」、二巻は「森羅万象」、三巻は「奇想天外」。

　コンセプトごとにまとめられて様々な絵が収録されています。

　テーマ別のリメイク版ということで非常に手元に置くのに馴染む本です。素晴らしい！

　セットのものも販売しているようですから、ぜひまとめて揃えておきたいところです。

　この中からは、一集目を取り上げます。

　ここで描かれているのは、主に人物と風俗を中心としています。しかし描きも描いたり、描きまくったり。

　これでまだまだ序の口とは。

　一集目にしてすでに圧巻です。

　北斎の絵に対する情熱は本当に計り知れず、人・建築物・動植物・現象……ありとあらゆるものへの興味の強さと、貪欲とも言い得るようなその描画量にただただ脱帽するばかりです。

　これだけ描いてるんだからそりゃあ上手いはずだと納得してしまいます。

　このやる気を、当時にしては相当長い寿命のその死の間際まで保っていたなんて、まさに超人……。

　才能ないなんてぼやくのは、このくらい描いてから言うようにしたくなりました。

　それだけの説得力を持つ作品群です。

　見ていると、描くためのとてつもないモチベーションになります。

　偉大なる先人の絵熱の塊たる一冊です。

　コミカルなイラストは見ていて楽しくもあるので、そういう意味でもオススメです。