KAC20245〜20248

・KAC20245

 お題「はなさないで」


『時空の魔女と8時間後に』


 これまたいいお題です。ひらがな表記のあたりにお題提案者の心意気ってものを感じざるを得ません。お題はコレだ。その解釈に関しては全権を委ねる。そう言ってくれるなら、こちらも受けて立たなければなりません。お題を見てストレートに思いついた「離さないで」を選びます。今回はお笑い要素抜きでやりましょう。

 小説のネタを考える時、「こういうテーマを書く」とか「読み手にこう思わせる」とかは後回しです。「エモいシーンを書きたい」と好みのビジュアルを決めます。その思い浮かべたシーンを自己解析して設定をこねくり回してテーマを後付けするわけです。僕の場合は。テーマとかお題をすっかり忘れてシーンだけ書いちゃう時もありますがそれはご愛嬌ってことで。

 今回は「愛想の悪い有望な少女と人畜無害な風で実は最強の少女が仲良く握手するまで」が思い浮かびました。あとはこのシーンに持っていくまでのエモい演出ピースで肉付けしていきます。「エモい」って最近使うようになった言葉で、積極的に活用しようと思っています。意味はわかりませんが。

 少女同士がバトロワ的に戦うとしたら肉弾戦よりも魔法合戦がいい。ならば全員時空魔法の使い手で時間操作の仕掛け合いだ。全員魔女ってどんなシチュ? 魔法学校が舞台にしよう。だとしたら敵役として悪役令嬢みたいな美少女が必要だな。そんな感じで溝を埋めて装飾を盛ってカタチを成していきます。楽しい作業です。

 長編化も見越してキャラを深掘りしてシチュエーションも固めます。出来上がった切り抜きシーンがこちらでした。タイトルも自然と浮かびます。長編化したら時間操作バトルで思い切り消耗してしまいそうな時空の魔女のバトロワ。現時点でお星59いただけて、好評のようです。頑張ってよかったよかった。エモいっす。




・KAC20246

 お題「トリあえず」


『ユメ売りの少女』


 ちょっと見直したらすぐコレです。カクヨムの適当なところはほんと対応が難しい。まず「トリあえず」という言葉はないです。前回がひらがな表記だったのでこちら側の裁量に委ねられましたが、今回は「カタカナ+ひらがな」という文字列が指定されます。変更不可ですねわかります。そちらがその気ならばこちらもそれなりの応答をしなければ失礼というものです。よろしい。ならば戦いましょう。

 締め切りの問題で文章の書き分けが甘いところもありましたが、地の文のぶっ壊れ具合で今がユメの第何階層にいるのかわかるようにしました。ユメの階層が深くなればなるほど文章がユメってぶっ壊れ精神崩壊崩せば崩せ。崖っぷちに立つはオマエかワタシか。オマエって誰だ。知るか。とりあえず往ねい。

 あちこちよく見ると苦しんでる感が窺えます。自主企画「ペンギンSFアンソロジー」に登場したネクタイを締めたアデリーペンギンが再登場するは、やる気がなくなったような終わり方をするは、エモさもお題もすっかり忘れてるは。

 当初タイトルは「ユメ・エクストラクタ」でしたが、意味がわかりにくかった。PV数が20くらいで打ち止め。慌ててわかりやすく「ユメ売りの少女」に変更しましたが時すでに遅し。もう次のKACがすぐに始まってPVが増えることはありませんでした。タイトルって大事です。

 それでもPV数現在時点で23に対して14件のハートと13×3個のお星。需要はあるようです。カクヨムコン短編はコミカライズが前提のようですので、この作品のように文章描写で勝負ってのは不向きです。文章をもっと磨いてよりぶっ壊してどこかの短編公募へって感じでキープです。


 


・KAC20247

 お題「色」


『不色の辺境』


 カクヨム編集部の緩急は見事なものです。これまたいいお題。単に何色かを登場させればお題クリアです。

「青い空、白い雲、山吹色の波紋疾走ッ!」だけでもいいわけです。でもKAC参加者はそれでは自身に納得できません。いろいろ手を替え品を替え「色」を表現しようとします。

 そこで「不色」という造語で挑戦です。不色。無色ではなく、色にすらならないってエモいイメージです。絶望したり、何もかもにやる気を失ったり、壊れるくらい辛かったりすると色って失われますもんね。知らんけど。

 異世界に行ける、と噂される穴が世界中に開きました。みんな異世界とやらに飛び込んでいきました。誰一人として帰ってくる者はいません。それでも人々は穴に飛び込み続けます。そして都市機能が成り立たなくなるくらい人口が減った社会で、あえて異世界に飛び込まなかった人々はどう生きるのか。

 主人公の視界から失われた色がとあるきっかけで回復していく様が誉められました。やったぜ。KAC2024で一番PV数いただけました。100越えたぜヒャッホウ。みんなこういうのが好きなんですね。カクヨムコン10短編いきましょういきましょう。




・KAC20248

 お題「めがね」


『めがね売りの少女』


 来たよ。お題「めがね」! 全世界眼鏡普及委員会推薦ワードです。全人類眼球保護運動の成果がここに現れました。

 でも、めがねが好き過ぎて好き過ぎて、普段っから眼鏡をかけたエモさのある女性キャラを登場させています。主役級であれ、脇役であれ、隙あらば眼鏡です。いまさらめがねをどう料理せよというのか。

 あーだこーだ、めがねがゲシュタルト崩壊するほどに考えて考えて、あ、普段通りじゃないか。いつも通り普通の短編を書けばいいんだ。と至りました。

 そうと決まればあとは早いものです。800文字があっというまに埋まりました。

「めがね、めがねはいりませんか?」

 という名台詞が発生した瞬間ですね。

 めがね売りの少女が見ためがねの先の光景とは……?

 ビジュアルとしてコミカライズ向けの一本ですので、もうちょっとアポカリプスバリエーションを増やして、人類に絶望をして、カクヨムコン10童話部門にいってみましょうか。

 KAC20246で「ユメ売りの少女」ってやったばっかなのに「めがね売りの少女」を持ってきたのは単純なミスです。忘れてました。ますます「ユメ・エクストラクタ」の立場がありませんて。




『レモンクラッシュ』


 めがね売りの少女だけではめがね愛が止まりません。KACには特殊な案件があるようです。2週間以内に10,000文字を越えると抽選でリワードがいただけると。ならばやろうじゃないか。めがねが有り余ってるんだ。

 そんな不純な気持ちで書き始めた「レモンクラッシュ」です。タイトルには特に意味はありません。なんとなくかっこいい、なんとなく語呂がいい、なんとなくエモく、なんとなく極寒の地域で機械と戦うガンアクションっぽいから。そんなものです。

 こちらは元々KAC最後の一作で10,000文字チャレンジをやろうと決めていた一本になります。そこで来たお題が「めがね」です。めがね小説は別に書きたい。なのでめがね二本目です。ちょっと何言ってるかわかりませんね。ごめんなさい。

 「レモンクラッシュ」は連作となりますので、先に過去作の「電氣ブランに蜂蜜を」と「コールドスモーカー」を読んでいただけるとよりわかりやすいかと思います。

 この時点でまだ一話しか書いていなくて、しかもめがねを登場させ忘れる始末。何やってんだか。

 そんな「レモンクラッシュ」をよろしくお願いします。




 以上、KAC2024合計11編、楽しんでいただければ何よりです。今後ともよろしくお願いいたします。

 あ、「カクヨムコン10に頼む」とか「長編いけるんじゃ?」とか、ご意見ご感想ご要望ありましたらぜひコメントでお話聞かせてください。

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KAC20249『あとがき』 鳥辺野九 @toribeno9

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