KAC20249『あとがき』
鳥辺野九
KAC20241〜20244
花粉舞う季節にやってくるKAC。2024参加者のみなさまにおかれましては次々に迫り来る〆切に追われる毎日大変お疲れ様でした。
あらためて思うことは、2024という数字の近未来的な重みですね。子どもの頃、2024年なんて想像もできない未来の世界でした。
全身タイツのような身体にぴっちりとした光沢のある服を着て、ロボットが運転する空飛ぶクルマに乗ってテレビ電話で宇宙の取引先と商談する。なんだその未来は。
現実はスマホでポチポチと文章書いて、コンビニのおにぎりもほんっと小さく高価な食べ物になっちまったな、と嘆いて野菜ジュースで糖分を摂取する毎日です。
早く外宇宙から地球の文明開花を促す一撃が放たれないかなと思います。そんなのどうでもいいか。
未来にはエモい妄想をする余地がある。
そんなわけでKAC2024をあとがきとして振り返ってみましょう。
・KAC20241
お題「◯◯には三分以内にやらなければならないことがある」
『未然ダモクレス』
この場合のダモクレスは「ダモクレスの剣」から引用して「非常に危うい物である」という意味合いを持たせました。
キーワードは三分以内。三分といえば、カップ麺、ウルトラ◯ン、あと何かあるかな?
ネタかぶりは避けようとしてひねりにひねってひねり出したのがこれ。「三分後に訪れる危機を回避し続ける主人公」というネタ。
未来予知システムはまだまだ考えなきゃならないゆるさですが、試験運用なのでよしとしましょう。システムを破棄するまで延々となり続けるアラーム。主人公のチームはどれだけ過酷な環境で仕事していたのでしょうね。主人公がみんなからどう思われていたかがエモさのキーとなります。
KAC初回なので手探りで書いてる感がありありです。
毎度KACには自分的テーマを設定しています。KAC2022は「人類絶滅」。KAC2023は「時間SFと白い猫」。今回は時間に余裕がなかったので「タイトルを漢字+カタカナで、登場人物は我が宮城県の酒蔵からいただく」という意味のわからないテーマを設定しました。ええ、無事にテーマが足枷となり3作目あたりから捨てましたよ。そりゃあもう。
・KAC20241+
お題「すべてを破壊しながら突き進むバッファローの群れ」
『無機質スタンピード』
まずなんなんだ『+』って。そして次はなんなんだお題の濃さは。エモい。
人が考えたことは実現し得る。それが僕の考えです。このお話には二人の主人公が登場して、お互いがお互いを考え、思い浮かべています。
エムミアはエレノアを考え、エレノアは実現し、エレノアはエムミアを考え、エムミアが実現する。すべてを破壊するのはバッファローかスマートフォンか。
文章生成AIが書いたような訳のわからなさを狙った800文字でした。
実際AI使ってみたって人いたかな? いてほしいけど。
・KAC20242
お題「内見」
『創作トレイサー』
何年もKACをやってると、ある程度お題を予想して書く内容を決め打ちしたりもするものです。今回もいくつかお題を予想していたのですが、そのうちの一つに「事故物件」ってのがありました。お題「内見」とピッタリな予想です。しかし内見のためドアを開けるとなぜかバッファローの群れが雪崩れ込んできます。よっぽどおもしろいお題だったのでしょう。頭から離れませんバッファロー。
そしてこのような創作論が出来あがりました。使い終わったものや、形にならなかったものも、きれいさっぱり整理整頓した方がエモいバッファローは降りてくるものですって(ほら、早く片付けないからこうなる)。
『とある文明の豊穣(または土鍋炊飯器アグリカルチャー)』
調子に乗ってしまいました。『創作トレイサー』が思ってたより早く仕上がったので、もう一本考えていたものを内見ネタに調整。『とある文明』シリーズです。
楽しくふざけられるシリーズですので書いていてとても楽しいです。こちらはタイトルの不鮮明さも相まってPV数は伸びないもののけっこうな好評をいただけました。気に入っていただけて何よりです。家電にはエモい文明が発展するものなのです。カビやダニが大量発生したわけではありませんぞ。
『とある文明』シリーズは一発ギャグみたいなものですし、カクヨムコン10や長編化よりも個人誌に向いてるかもしれません。
・KAC20243
お題「箱」
『ゼゼル鬼と黒い箱』
なんか急にいかにもお題っぽいお題です。箱。匣。器としての入れ物、人を入れるライブ会場とか。けっこう広がります。KACもノってきたことですし、いいでしょう! 受けましょう! やりましょう!
というわけで中長編にも展開できそうなネタにしました。
若者たちよ、異世界転生だけがファンタジーでなく、剣と魔法の王道ファンタジー風MMORPGだけがSFではないぞ、と老害化してみました。
造語を交えた世界観。主人公もヒロインも特殊能力など持たない普通の人間。奇怪なモチーフの風習とファンタジー要素のあるお祭り。二つの月とまったく星のない黒い夜というエモいシチュエーション。そして空が割れるラストシーンにSF的なギミックをひとさじ。
主人公の若者が割った空の向こう側に見たものは? 終わり方も第二話に続く的な。
これこそファンタジー(希望的観測)だ、とばかりに頑張ってみました。文字数も増えつつあります。長編化も見据えて練った設定だけあってなかなか変更しづらく、はたして。
・KAC20244
お題「ささくれ」
『ささくれたささがき』
まず、ささくれってなんだっけ? ああ、きんぴらゴボウ作る時のゴボウのカットの仕方だ。きんぴらゴボウにかつおの削り粉をまぶすと美味いんだ。するってぇと何かい? お題はきんぴらゴボウ? こいつぁけったいなもん任されちまったね。回り出した運命の歯車はそう簡単には止まりません。僕はお題「ささくれ」なのに「ささがき」小説を書こうとしているのです。
エモい純文学で行こう。仕事に疲れた妙齢の女性が世の中に愚痴をこぼしながらささくれゴボウを無心に炒めるんだ。ささくれゴボウ? ささがきゴボウだ! さあ、どうしよう。
どうしようもありませんでした。運命の歯車は永久機関。壊れるまで回り続けるのです。書き切るしかねえ。
書き終えてみなさまのささくれ小説を読んでその情緒的なお題の使い方に感心しきりです。僕の心はささくれだちました。こう使うんですね。
書き直したい。消し去りたい。僕はきんぴらゴボウにメンマ入れたり、刻んだマロニー入れたり、さきイカ入れたりします。おすすめのきんぴら具材はありますか?
後半につづく
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