第5話
キーンコーンカーンコーン
「では、解答用紙を後ろから集めてくれ」
無事にテストが終了し、僕は大きく背伸びをする。啓示はおそらく今回も学年トップを取るだろう。僕は蓮の所に行って、言う。
「どうだった?」
「オワッタ」
(このオワッタはテスト終了の意味じゃないな)
「よし。終わったから、ガンガン遊ぶぞ!」
(切り替え早いな。流石蓮)
蓮のことは放っておき、テスト明け誰もいないであろう図書室へ向かう。目的は
◆
「こっちかな――」
図書室で借りる本を探していると、クラスメイトが僕のところに来た。
「あの」
声をかけてきたのは
「鏑木君。ウチとエッチしてください!」
(はい?)
「エッチって?」
「あの、その、セ――」
「そんな、いきなり。何でまた?」
「えーっと、その、ダメですか?」
(なんなんだ)
「理由があるんでしょ。どうしてまた?」
「鏑木君。彼女いましたよね?」
「いたけど、なんで知っているの?」
「御影君がフラれたってクラスの子達に言いふらしていました」
(あの馬鹿野郎)
「ウチ、暗くて男の子と接点がないから、このままエッチできずにオバサンになっちゃうのかなって思って、その……、鏑木君が彼女を大切しているのを見て、もしかして頼めば優しくエッチしてくれるのかなって」
「オバサンになる前にエッチなことをしてみたいと」
「はい……」
(つまり、こうだよな)
加藤さんとエッチをする。
⇒いっときの欲望を満たす。彼女は目的を達成。
加藤さんとエッチをしない。
⇒代わりにエッチしてもいい人を見つける。
⇒どうせ見つけるなら加藤さんを好きでいる人を見つけた方がいい。
⇒彼女はエッチした後も幸せになれるかもしれない。
カトウサンがこちらをみている
エッチしますか?
はい
→いいえ
(の方がイイよな)
「慌てる必要ないんじゃないかな。きっと加藤さんを好きになってくれる人が現れるよ」
彼女は俯いた。
「そんな人いますかね……」
「いると思うよ。高校を卒業してからでもエッチなこと体験できるんじゃないかな?」
「そうですかね……」
(うーん)
「もしなんなら、探そうか。加藤さんのことを好きな人」
彼女は黙っている。
「僕はエッチはできないかな。時間がかかるかもしれないけど、探すよ」
加藤さんは一礼をする。
「無理なこと言って、ごめんなさい」
「気にしないで大丈夫。加藤さんのことを大切にしてくれる人、きっといるから」
そんなこともあり本を借りに来たことも忘れ、僕は図書室を出て昇降口へと向かう。スマホを取り出しロックを外すと蓮から連絡があった。
蓮:啓示のところで、漫画を読むけど、どうだ?
(遊ぶぞって、アウトドアではなくインドアなのね)
慎吾:遅れるけど、行くと思うよ
下校しながら、加藤さんのことを考えていた。どうすればいいのか。こんなことをクラスで相談する人もいないし――。
(あっ、そうだ)
僕は帰宅した後、ユキに相談することにした。
シンゴ:ユキ。相談したいことがあるんだ
すぐに返信があった。
ユキ:相談って何?
シンゴ:クラスの子で、僕とエッチしたい子がいるんだけど
ユキ:は?
シンゴ:その子、自分に自信が無くて、エッチなこと今後できないんじゃないかと思っているみたいなんだよ。それで僕のところに来たんだ
ユキ:そうなんだ
シンゴ:彼女のことが好きな人を見つけようと思っているんだけれど、どう探せばいいのかわからないんだ
ユキ:それなら、その子に自信を持ってもらえるよう、見た目を大改造すればいいと思う
(見つけるじゃなくて、彼女にアプローチする人が出てくるように仕掛けるのか)
シンゴ:そうか、変身すれば彼女を好きになってくれる人が現れるかもしれないのか
ユキ:誰かクラスメイトに頼めばいいんじゃない? この前言っていた転校生とか?
◇◆◇◆
(思ったよりもテストできたな)
吉野君の家で勉強したこともあって、テストに手ごたえがあった。放課後は友達とカラオケに行く予定だ。神楽ちゃんは部活があり来れなくて残念。
家に帰らずカラオケ屋さんへ。カラオケを楽しんでいると慎吾から連絡があった。
シンゴ:ユキ。相談したいことがあるんだ
すぐに返信。
ユキ:相談って何?
シンゴ:クラスの子で、僕とエッチしたい子がいるんだけど
ユキ:は?
(どういうこと? 慎吾はエッチしたいの?)
シンゴ:その子、自分に自信が無くて、エッチなこと今後できないんじゃないかと思っているみたいなんだよ。それで僕のところに来たんだ
ユキ:そうなんだ
(ラブホテルであたしに手を出さずに、その子とエッチしちゃうんだ。何かあたしに魅力が無いみたいじゃん。ムカツク)
シンゴ:彼女のことが好きな人を見つけようと思っているんだけれど、どう探せばいいのかわからないんだ
(代わりの人を探して、慎吾はエッチはしないつもりなのか)
ユキ:それなら、その子に自信を持ってもらえるよう、見た目を大改造すればいいと思う
シンゴ:そうか、変身すれば彼女を好きになってくれる人が現れるかもしれないのか
(ここは一肌脱いであげるか)
ユキ:誰かクラスメイトに頼めばいいんじゃない? この前言っていた転校生とか?
◇◆◇◆
翌日、僕は小川さんに、昨日の加藤さんとのやり取りを伝えた。
「それで、加藤さんをプロデュースして欲しいんだ」
「いいよ。化粧とか洋服とかを見てあげればいいんでしょ。OK」
二つ返事で小川さんは了承してくれた。なので二人で加藤さんの所に行き、
「加藤さん、今、大丈夫?」
「大丈夫ですよ」
「小川さんが加藤さんがモテるように大改造してくれる感じなんだけれど、どう?」
急な話だったので、加藤さんは困惑していた。
「加藤さん大丈夫。あたしがカワイイ感じにしてあげるよ! 今度買い物に行かない?」
「あっ、は、はい」
「土曜日は空いている?」
「空いています」
加藤さんとやり取りをした後、小川さんは笑顔で僕を見る。
「空いているよね?」
「土曜? 予定は無いよ」
「じゃあ、荷物持ちをよろしくね」
「え?」
「言いだしっぺ何だから付き合いなさい」
「はい」
(まあ、仕方ないか)
「お前ら席に着け」
担任の先生がそう言う。僕は小川さんと加藤さんと別れ、席に着いた。今日のホームルームは修学旅行の自由行動の班を決めることと、行きたい場所を計画する、そんな時間だ。
「基本的に四人一組な。決まったところから、先生に言いに来い」
僕の所に蓮が来た。
「啓示のとこに行こうぜ」
僕は蓮と一緒に啓示の席へ行く。
「啓示、俺達と同じ班でいいよな?」
「ああ」
とりあえずは三人決まった。まあ、いつものメンバーだけど。
小川さんの方を見ると、明智さん達といて、グループ分けで相談しているようだった。しばらくすると小川さんが加藤さんの所に行く。
「加藤さん。班で誰か一緒になる人いる?」
「……いないです」
「じゃあさ、あたしと一緒の班にならない? 友達と班組むんだけれど、人数が半端でさ。どう?」
「いいんですか?」
「うん」
「じゃあ、お願いします」
「OK! 神楽っち~! 交渉成立したよ~」
どうやら加藤さんは小川さん達と同じ班になるみたいだ。
「おい、慎吾。聞いてたか?」
「あっ、ごめん」
「あと一人どうするかって」
僕らが、どうするか悩んでいると、一人のクラスメイトが来た。
「すみません」
「はい」
来た生徒は、
「ボクを班に入れてもらってもいいですか?」
彼がそう言うと、蓮が言った。
「いいぜ。啓示もいいよな?」
「ああ」
「じゃあ、決まり!」
(蓮。僕に聞かなくていいのか? まあ、全然問題ないし、いいけれど)
「ありがとう」
「いいってことよ。慎吾、先生の所にいってきて」
(お前なぁ。まあ、蓮だし仕方ないか)
「柳井君。名前の漢字が分からないから一緒に来て」
班決めはダラダラと進み、ホームルームが終わる。ちなみに小川さんの班は明智さんと加藤さんの三人みたいだ。
◆
「みんな気をつけて帰れよ」
放課後になり、みんなが帰り支度をする中、小川さんが僕の所に来た。
「ねえ、慎吾」
「えっ」
「あっ、――鏑木君さ、慎吾って呼んでいい?」
「いいけど」
急に慎吾と呼ばれて驚いたが、小川さんと距離が近くなった感じがして、何だか嬉しかった。
「あのね。加藤さんのプロデュースでどこに行こうか相談したいんだけれど、今いいかな? この辺のこと詳しくないから、ちょっと教えて欲しくて」
「大丈夫だよ。蓮、先に帰って」
みんなが帰っていく中、二人で土曜日の行き先を計画する。小川さんの声、表情、指先。彼女のことを見て、こんな時間も悪くないな、むしろイイなと思った。
「ねえ、慎吾。この後一緒に帰らない?」
「いいよ(もちろんOK)」
ラブホテルにいた金髪巨乳ギャルもカワイイけれど、転校生の黒髪巨乳美少女の方が、僕は好みのタイプかな フィステリアタナカ @info_dhalsim
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