UNO!終
――――六年後
大石はUNOの台を回すために、ポケットから財布を取り出した。
だが、財布には二百円しかなく、あと二百円足りなかった。
そのまま角を曲がって両替機へ行くと、小学校低学年くらいの男の子が受け取り口に手を突っこんでいる。
大石が、どうした? と聞くと男の子は、お金がないの、という。
故障しているらしかった。
大石は、じゃあ、お店の人を呼んでくるね、といってレジへ向かった。レジに人はいなかったので、大石は隣のサービスセンターの店員に声をかけた。店員が奥に行って間もなく、おもちゃブース担当の店員がやって来て、大石は店員と両替機へ向かった。
店員は持ってきた鍵で両替機をあけると、なにやら中をドライバーで動きまわした。
その後、店員が中をしめた瞬間、受け取り口から百円玉が十枚落ちてきた。
店員がもう大丈夫です、といって立ち去ってから、男の子はお金を取り出すと、そのまま走って立ち去った。
大石は千円札を両替して、UNOの台に戻った。
百円玉を入れて回すとカプセルが出てきた。中を開けてみた。
中には指先サイズよりもさらに二回りほど小さいUNOカード一セットが入っていた。デザインは『クラシックバージョン』だ。
大石はUNOカードを手に電話をかけた。五回コールが鳴ってから相手が出た。
「あぁ、もしもし、今大丈夫?」
「……大丈夫じゃねぇよ、今繁忙期なんだから」
電話の先では、なにかにぎやかそうな音が聞こえた。
「俺、来週、
うーん? と相手は喉を鳴らしている。
「来週の……土曜の午後なら空いてるけど。何用だよ」
「まぁ、ちょっと小さいんだけどさ。……これ一人じゃできないんだよ」
大石は手もとを見た。
「
UNO! 神崎諒 @write_on_right
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