色眼鏡を使ってみるべきではない『フィクションの現実超え』

アーカーシャチャンネル

彼が配信しようとしたもの。そして、得ようとしたものの正体

 ここ数日、様々なネガティブキャンペーンをSNS上で目にして、頭が痛くなっていたVTuberの男性がいた。


 これでは個人ブログや個人サイトの時代に逆戻りしてしまう……とも考え、何かないかネットサーフィンを試みる。


 その中で、とある小説サイトを発見し、そこで短編コンテストが行われているのを目にした。


「短編小説か。文字数も800文字を越えればOKと」


 コンテストのガイドラインをさっと見ているのだが、文字数は800文字を越えれば問題はない。


 さすがに10万文字クラスは短編とは言えないので、その辺りは……と言う気配か。


 コンテストは一次創作オンリーで、二次創作は受け付けていない。出版社の運営している小説サイトなので、当然と言えば当然の対応だ。


(しかし、自分は小説を書いたことがない。どうすれば……)


 コンテストへエントリーするにしても、小説サイトのアカウントを取得する必要性がある。


 さっくりと取れるかもしれないが、彼は少し考えた。


「いっそのこと……」


 そんなことをコンビニの店外で考え、家に戻ってからまとめようと思った。


 ここには配信機材がないからである。自宅に戻ってから、というべきか。



 彼は自宅に戻り、配信機材のある自室で先ほどの小説コンテストを行っているサイトを再確認する。


「テーマが『めがね』か……。眼鏡と見るべきか、それとも目がねぇ……のようなダジャレは難しいか」


 結局、小説コンテスト用にアカウントを取る話ではなく、まさかのそれを題材に配信ができないか、考えていた。


 安易に便乗して『バズる』のでは炎上の危険性もある。


 一方で、小説コンテストにエントリーもしないのに……と言うツッコミが飛ぶ可能性だって否定できない。


「しかし、配信でやるにしてもめがねキャラでは既にいくつかある。被りネタでは、配信者の色が出なければ……と、色めがねで見るのもアレか」


 めがねで配信をするにしても、動画サイトや他のSNSを検索してネタ被りの懸念を感じ、このままではまずい、と思い始めた。


 このままでは配信する前に、ネタを考える段階で炎上する危険性だってあったのである。


「このままでは、配信する以前の話になってしまう」


 結局、彼はめがねをテーマにした配信を断念する。


 この時に行ったテーマは、SNS炎上をしないテーマの選び方になっていた。



 配信終了後、この公式切り抜きが予想外のバズを生み、ネガティブキャンペーンの一部を一掃することができたのだが……。


「やはり、めがねのテーマにするべきだったか、と。悩むところではあったか」


 炎上する可能性があるので、このテーマは扱わない……というのも一種の色めがねになってしまうかもしれない、と思う個所はある。


 それでも、悪意ある炎上とは違うのだ。炎上ありきやいわゆる有名税と言うワードは、彼が一番忌み嫌うワードなのだ。


「悪意ある炎上勢力は、どのような物でも炎上させて、自分たちがストレス発散できればいい、と言う展開になっている」


「こうした勢力は、どちらにしても色めがねで見られるのは明らかである以上、一掃するべきと……」


 数日後、悪意あるSNS炎上を規制する条例が各地で作られていく。これにより、SNSの平穏が戻ってくるかもしれない。


 一方で、炎上勢力が逆に他のインフルエンサーなどから色めがねで見られていく時代……。



 様々なジャンルで『フィクションの現実超え』と言えるようなものは存在していた。


 SNS炎上勢力の一掃も、ある意味で『フィクションの現実越え』として現実化してほしい、そう思っている。


「様々な分野でフィクションの現実越えというケースは存在する。悪意あるSNS炎上勢力の一掃も、現実になってくれることを……」


 そう思いつつ、男性VTuberは今日も配信を始めるのだった。

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