第7話 断ち切る決意

千鶴と颯が得た情報には、サボリンダーを根絶するための一縷の希望が含まれていた。科学者から教わった方法は、病原体のコアとなる遺伝子を破壊するもので、この遺伝子が破壊されれば、サボリンダーは自己増殖を停止し、やがて活動を停止するという。しかし、その遺伝子を直接攻撃するには、二人が未知の危険に身を投じる必要があった。


「これが唯一の方法なら、やるしかない。」千鶴は決意の表情で颯に言った。


颯もまた、覚悟を決めた。「俺たちなら、できる。この脅威を止めるんだ。」


彼らはまず、サボリンダーのコア遺伝子を狙うための特殊なウイルスベクターを開発する。このウイルスベクターは、サボリンダーにのみ感染し、その遺伝情報を乱すことで病原体を無効化する設計だった。千鶴の専門知識と、科学者の助言により、彼らは数日間にわたる熱心な研究の末に、ウイルスベクターを完成させる。


その間、彼らの行動は依然として謎の組織によって監視されていた。何度か危機的な状況に陥るものの、二人の協力と機転によって何とか切り抜ける。


ウイルスベクターが完成した後、次なる課題はそれをサボリンダーが最も濃厚に存在する場所に運び込み、散布することだった。地図に示されていた秘密施設がその場所であり、二人は再びそこへ向かう計画を立てる。


施設への侵入は前回よりも困難を極めた。厳重な警備とサボリンダーによる奇妙な現象が彼らを阻むが、千鶴と颯は互いに支え合い、目的地点にたどり着く。ウイルスベクターを散布するための装置を設置し、作動させた瞬間、施設内部は混乱に包まれる。


しかし、それと同時に、サボリンダーの活動が急速に弱まり始めるのを感じた。外界にいる感染者たちの状況も改善していく報告が届く。千鶴と颯の計画は成功したのだ。


彼らは秘密施設からの脱出を試みるが、その途中で、謎の組織からの最後の妨害に遭遇する。緊迫した状況の中、二人は協力して困難を乗り越え、無事に外界に戻ることができた。


千鶴と颯が調査本部に戻った時、彼らを待っていたのは、感謝と称賛の声だった。サボリンダーの脅威が去り、世界は再び平和を取り戻し始めていた。


彼らの行動は、未知の脅威に対する人類の勝利の証として、記憶されることになる。しかし、二人にとって最も大切なのは、互いに信頼し、支え合った絆だった。サボリンダーに立ち向かう過程で、彼らはただの同僚から、互いを深く理解し合えるパートナーへと進化していったのである。

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