第5話 影からのメッセージ

千鶴の研究ノートの一部が失われた事件と颯の不審な追跡者により、二人は自分たちの調査が謎の組織にとって都合の悪い何かを突き止めていることを悟る。状況の危険性を痛感した彼らは、調査を秘密裏に進めることに決める。


一方、調査本部では、二人が廃工場で回収した資料から新たな手がかりが見つかる。その中には、サボリンダーの研究を推進していると思われる謎の施設の位置を示す地図が含まれていた。千鶴と颯は、そこがサボリンダーの真実を解き明かす鍵を握っている可能性があると確信し、施設への潜入を計画する。


計画の夜、千鶴と颯は、あらゆるデジタル追跡を避けるため、通信機器を持たずに出発した。施設に近づくにつれて、二人の間の緊張が高まる。施設の厳重なセキュリティを潜り抜けることは容易ではない。


施設の外壁に沿って進むと、不意に千鶴の足元で何かがピカリと光った。地面には小さなUSBドライブが落ちていた。周囲を慎重に見回した後、二人はドライブを回収し、施設内への侵入を試みる。


奇妙なことに、施設への侵入は予想よりも容易だった。内部には、サボリンダーに関する研究データや、その危険性を隠蔽するための文書が溢れていた。しかし、彼らが最も重要な情報に手を伸ばしたその瞬間、警報が鳴り響き、施設は一気に騒然となる。


急いで逃走を開始した二人だったが、施設の出口近くで颯が足を滑らせてしまう。千鶴は颯を助け起こし、二人で何とか脱出に成功する。一息ついた彼らは、USBドライブの内容を確認することにした。


ドライブには、サボリンダー病原体の完全な遺伝子配列と、その創造に関わった科学者たちのリストが含まれていた。さらに、驚くべきことに、彼らがサボリンダーを制御しようとして失敗したこと、そして、その結果として病原体が自我を持つようになったことが記されていた。


この情報は、サボリンダーの謎を解く上で重大な進展を意味していた。しかし、それと同時に、二人がこれから直面する危険もまた、計り知れないものであることを示していた。影から手を差し伸べた人物の意図と、サボリンダーの制御不能な進化が、新たな闘いの序章を告げるのだった。

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