素直じゃない神谷さんと、それに気づかない狛入くん。

 

 

 私はこの世の尋常ならざるモノが常にしまう。


 普段メガネをかけているのは、かつて特殊なレンズでなのを見えにくくしてた幼い頃の名残(今は必要に応じて自力でオン・オフできる)。


 実家は神社で、私はそこの長女。いわゆる巫女さんだ。


 オマケに私の先祖は九尾の狐。目も真っ赤だし、髪も白い。


 人の姿に耳と尻尾付き。やたらと目立つその見た目が、私はずっとキライだった。


 物珍しさにチョッカイをかけてくる男子、それが気に入らなくて突っかかってくる女子。


 私は普通にしてるつもりでも、周りは放っといてはくれない。


 自然と言葉は強めになって、見た目を誤魔化すように服装は派手に。


 別になりたくてギャルっぽくなったんじゃないけど人避けにはなったし、先生たちも特殊な存在の私には触らぬ神になんとやらで、とやかく言っては来なかった。


 気に入らないヤツをぶっ飛ばすのは簡単。私はそういうチカラを持っているから。


 でもそれは無闇に人に使ってはならない。過去のご先祖様が人の世の中で生きていくのに積み上げてきた苦労を無に帰すわけにはいかないんだ。


 そんな鬱々とした気持ちをいつも和らげてくれたのは、幼馴染だったアイツ。


 向こうは代々ウチに仕えてきたから私には一歩引いて接してくるけど、本当はもっともっと触れ合って欲しいのに。


 そんなんじゃ守護者なんてやってられないのは理解わかってる。近づき過ぎたら良くないのも、巫女としての私は弁えてるつもり。


 でもこのモフモフに一度触れたら、もう周りなんてどうでも良くなっちゃう。


「あ~モフモフ~。モフモフさいこ~♪」


 可愛いし、暖かいし、そして何より力強い。


 私の下らない悩みも変なプライドも、なんか全部包み込んで一気に溶かしてっちゃうような。


 いっそ全部投げ捨てて自由になれるんなら、例えこの国にだってケンカ売ってやるぐらい大した事じゃない。


 それぐらい好き。メチャクチャ好き。



 はぁ~。心ん中じゃいくらでも言えるのにね……。

 

 

 

 

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狛入くんと、神谷さん。 新佐名ハローズ @Niisana_Hellos

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