バッドエンド短編集

もる!

第1話 お弁当箱

私の兄は体が弱い。

そのため、心臓移植が必要らしい。

私は兄につきっきりの両親が、冷たく感じることがあるが、「まあしょうがないよね」と思い、いつもポジティブに考えることにしている。

そして、今日はお弁当!!

忙しいお母さんが頑張って私のために作ってくれたんだ!

・・・ん?フタに、紙が張り付いてる。

    ねしくやはのだんうてくしほがうぞんしのたなあ

「根しくや?葉のダウン?なんのこと?」

まあいいや、それより花みたいなの美味しいなぁ。

すると、横にいたクラスメイトが震えながら声を出した。

「あなたのお兄ちゃんって心臓が弱かったよね・・・」

「え?そうだよ?」

「左から、読んでみて」

「え・・?」

クラスメイトに言われて通り、読んでみる。

かいてあったことは、全くの、真実だった。

『あなたのしんぞうがほしくてうんだのはやくしね』

「うわああああ!!!!!」

クラスメイトが、ぎょっとしたような顔で私を見ていた。

そういえば、息が苦しいような・・・

私は草花が大好きで、よく図鑑を読んでいた。

お弁当には、花のようなものが入っていた・・・

今なら、わかる。

アレは、毒草だったのだ・・・

私の意識は遠のいていき、もう目を覚ますことはなかった・・・

葬儀の時、母親は表面上泣いていたが、でも、口元はニヤリと笑っていたに違いないと、私は思った。

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