第3話 おもちゃ
私のクラスメイトの一人には、たくさんのアザや怪我がある。
「どうしたの?」と私が訊くと、あの子は、
「たのしいんだよ」というだけで、原因は教えてくれることは、一度もない。
六年生までの6年間、毎日毎日、休みの日にも顔を合わせるたびにそう質問しているが、同じことばかりで何も教えてくれはしない。
そして、学校外で見るあの子の近くには、いつも、横に、お父さんがいた。
私は遠慮がちに「お母さんは?」と聞いてみる。
すると、なぜか、あの子のお父さんがギクッとした顔になりました。
「怪我で寝込んでるんだよ・・・っふふふ!」
「何笑ってるの?・・・ああ、あれ?そこの面白い動きしてる子供?」
「あ、そうそうそうそう!!!」
と、あの子は慌てて言いました。
まあそんなこんなで春休み。
あの子のことが気になります。
でも、会えることはないのです。
まあ、学校が始まったら会えるけど。
でも、この間も、あの子に会いたくて会いたくてたまらないのです。
そして、ゴロゴロ毎日ゴロゴロゴロゴロごろ寝しているところに、私に向けてのニュースが来ました。
なんと、あの子のお父さんが、逮捕されたというのです。
児童虐待だそうです。
そして、そのニュースを伝えに来たのは、あの子でした。
「DV受けてたんだね・・・たいへんだったね・・・でもこれからは大丈夫だよ!」
「うん・・・!ありがとう!お父さんがいなくなったから、これで思う存分お母さんで遊べるなぁ」
私はゾッとした。
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