黒歴史放出祭

並木空

実話なだけに言い逃れができない黒歴史

 私こと並木空(なみき・そら)の黒歴史は、順調に更新中なような気がします。


 オリジナル小説サイト『紅の空』に置いてあり、おそらく代表作とされる『鳥たち見た夢』が黒歴史です。


 『鳥たちの見た夢』総目次ページ

 http://one.chips.jp/k-sora/s-toriyume-00.html


 中華風の異世界ファンタジーです。

 主人公たちの恋愛ものだと書いていたつもりだったんですが、どちらかというと群像劇のようになってきました。


 ファンタジーなのは世界観だけで、魔法や異能(超能力)などは一切ありません。

 そして発表当時に流行っていた活劇ものでもなく、現在流行中の後宮ものでもありません。

 

 主人公たちの純愛を主軸とした歴史ものという評価をもらった時もあります。


 作品の総合ページにあるように


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 遥か昔。この大陸には鳥陵という名の国があった。

 大陸史上、人民が豊かだった時代の幕開け。

 大司馬を賜ったのは緑の瞳を持つ異民族の青年だった。

 絲蒼鷹が鳥陵の都に人質としてやってきたのは、まだ九歳の頃。

 色墓が負けたときのことであった。

 故郷を焼き払われ、名を奪われた。

 それでも彼が鳥陵を裏切らなかったのは、鳥陵の姫のため。

 運命を大きく変える出会いだった。

 数奇な巡り会わせで、織られていく人間模様と恋。


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 どこまでいっても血なまぐさく陰謀策略が渦巻く剣と政の世界です。

 ジャンルとしては『建国記』ものらしいです。


 書きたかった『テーマ』は『人質として連れてこられた異民族の少年が大陸史上、空前絶後の大司馬(軍事の最高権力者)になる』ということでした。


 なので【第四部】邂逅の最終話『第六十一章』で完結させるつもりだったのです。


 ですがサブキャラクターたちの恋愛が読んでみたい! という要望が強く、特に絲蒼鷹(シ・ソウヨウ)旗下の翔集英(シャン・シュウエイ)の恋愛を完結させてくれと言われて、伏線の張り直しと回収をすることに。


 そのおかげで、本編に早い段階で出していたとあるキャラクターをソウヨウの手によって葬るという、放置してもいいようなエピソードが出てくることに。

 一応、本編でも番外編でも、そのキャラクターは鳥陵(チョウリョウ)にとって、味方でも敵でもないクニの出身者であり、そのクニの嫡男という設定でした。

 主人公のソウヨウも「敵に回ると厄介ですね」と言っていたんですが。


 番外編の『行き違い』

 https://one.chips.jp/k-sora/s-toriyume-b12.html


 天下統一をしてもなお、恒久平和とは遠い。

 外敵のいるような世界観です。

 架空中国世界なので夷狄と呼ばれる民族もいれば(大司馬とは夷狄の討伐するためにいる官職であり、名誉職)、ヨーロッパや日本なども残っているのです。


 作者の年表の中では、某キャラクターは殺す予定の人物にカウントしていました。

 が、しかし。

 普段はまったく反応がないサイトに、非難するようなメッセージも届きましたし、リアルの知人にも『血も涙もないのか』とは言われました。

 伏線の張り方が甘かったようです。


 現在は外伝や番外編や小話といったものに登場していない新キャラクターは本編にできるだけ出さないようにしています。

 主人公のソウヨウが立場上、手を下す必要があるか、政治的に排除しなければならないからです。

 


 『鳥たちの見た夢』の最初は知っている人たちだけに配っていたプリンター製本だったんです。

 それがWEBサイトを持つようになり、二十年以上の付き合いになっています。

 本編が区切りの良いところで終わっているのですが、続編の要望はいただいています。

 ちなみに本編の方は2011年で止まっています。

 番外編や外伝の方がちょこちょこ更新されています。


 ヒロインのフェイ・ホウチョウの兄であり、皇帝として即位して、天下統一したフェイ・ホウスウの恋愛話。つまり立后問題を片付けてくれ、というような要望です。


 続編を書くにあたって、ある意味人生設計が狂わされたキャラクターでもあります。

 それとなく本編では好意を寄せている乙女がいることは伏線は張ってあります。

 が、しかし、初期に作った年表とは、どうやっても食い違うことに。

 何度も辻褄合わせをしているのですが、年表の訂正とエピソードを書いては作者自ら没にしている状態です。

 この五年間以上は、そんな感じでしょうか。

 原稿用紙100枚単位で書いては、没にしています。


 『鳥たちの見た夢』には作者が手書きでノートに書きつけた初期の年表が存在していて、子ども世代まできっちりと名前とお相手が決まっているのです。

 それこそ『歴史の教科書』のように。


 人生の半分以上の付き合いになっている作品なので、ライフワークと呼んでも良いのかもしれません。

 登場した人物、すべての『恋』と人生の終焉まで描く前に、私の人生が終わりそうです。


 ヒロインが信じている『運命』のような『恋』。

 それが『鳥たちの見た夢』の根底に流れています。


 おかげさまで、作品の途中から『鳥陵の民は一生涯に一度の運命の『恋』をする』という初恋の成就率が激しくなりました。

 乙女向けのライトノベルでも見られないほどの純愛展開です。

 ただし、恋愛面に限る。


 主人公のソウヨウが建平三年の現在・数え十八という設定なので、満年齢にすると誕生日が来ていないので十六歳になります。

 そんなキャラクターに血の静粛を行わせているので、現行法(令和六年)だと架空とはいえ児童虐待に抵触しそうです。

 天下統一をするために戦争行動をしているので、どんなに美化しても自国に従わない異民族だから、思想が違う異民族だからと大量殺人をしている世界です。


 本編がチョウリョウ側の正史しか語らないので、軍国主義とか愛国主義に勘違いされて攻撃されることもあるのですが、主題にしているのは平和を知らない時代に生まれ落ちた戦災孤児や少年兵問題です。


 数え十五で成人するという世界観のおかげで、読者に突っ込まれることはないのですが、どのキャラクターも戦争におけるトラウマを抱えています。

 そのために人格形成がおかしくなっており、現代日本人に照らし合わせると異常なことも多いです。

 間違いなく精神科送りになるような世界でキャラクターたちは生きています。


 文化の違い。と片付けていますが、現代日本ではインセクト・タブーに当たるような関係がないとは言い切れません。


 作者の倫理観を問われると、フィクションだから! とか。

 ファンタジーだから! とか。

 そんな理由でしか逃げられないですね。


 まさに黒歴史!



 『カクヨム』に投稿していないのは、完結の目途が立たないところもありますが、読み手を選ぶような作品だと作者に自覚があるからです。

 序盤ほど拙い文章力であり、視点人物の揺らぎはあるし、楽しさだけを優先させて書いていたのがわかるので、再構築が必要そうだからです。


 というわけで、本日も黒歴史とコンニチハをしてきます。

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