第2話 何とか落とした

 証拠はすぐに集まった。

 何なら、私と会うより多かったし。

 少しヘコんでしまった。


 そして、写真を見るとやっぱり腹が立つ。


 すると良いことを教えてくれる。

「これって、勤務時間中ですよね。会社に送れば良いのでは?」

 興信所さんが、提案をしてくる。

「それって何か罪になりません?」

 つい気になり、聞き返す。


「なります」

 興信所の方は、普通に答える。


「はっ」

「名誉毀損や侮辱罪ですね」

「駄目じゃないですか」

 そういうと、にまっと笑い教えてくれる。

「そりゃ、やり方次第です」


 そして数日後。

 彼の会社、そこの人事あてに、オタクの社員を昼間にホテル街でよく見るが良いのかね。

 そんな、善意の報告が写真付きで配達される。むろん匿名で。


「外回り行ってきます」

 彼は何も知らず、いつもの様に外へ出る。

 あらかじめ女の方に連絡をして。


 途中で、拾いホテル街へ。

 だがその後ろに、幾人かの会社関係者が付いてきている。


 その事に気が付かず、いつもの様に。


 かくして、結構な罰を受けることになったようだ。

 追い打ちを掛けるように、私から別れ話がやって来る。


 意外とあっさりと別れようという話になり、ちょっと腹が立つし、少し落ち込む。

 こんなものかと。


 さてさて、お医者さんは加藤 秀樹かとう ひできさんと言い、忙しかったせいで奥さんの浮気によりバツイチ。


 別れた報告をして、御礼を言う。


 そして、まるでストーカーのように、顔を出して叱られる。

「この通りは、物騒だと言っているだろう」


 だが、引き下がらず。顔を出し半年。

 やっと、彼を根負けさせる。

「やれやれ、妻と別れ。もう一人で良いと思っていたのに。君には負けたよ」


 そう。私は勝った。


 人の心は適当なようで、あの日消えた色は、前以上に輝き、不快だったホテルのネオンさえ美しく感じる。

 最悪な時に救われ、私は最高な人と出会えた。


 あの時、出会えなかったら、もっと最悪だったからねと、心配されながら、今日も小言をもらい。私はにまにまとしてしまう。

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KAC20247 今私の世界は色あせて 久遠 れんり @recmiya

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