そのなみだは、何色ですか?

 ばくばくばく。むしゃむしゃ。まいにち体の色をかえるかいじゅうは、まるでカメレオンみたいです。人間がまいにちきるようふくをえらぶように。かいじゅうもまた色というおようふくをきれることがとてもうれしかったのだと思います。
 そんなかいじゅうがよりオシャレをめざして目をつけたのは、空の色。澄み渡る青い色。どこまでもつづくその「青」は「果」てがありません。「青果」だけに、やさいやくだもののように、食べた色に変わるどころか、透明になるなんて、かいじゅうからすれば一大事。いくらかいじゅうでも、お空には勝てなかったのです。ほしょく=勝つという構図は自然界の掟そのものですが、このばあいはそれが成立しません。当然です。
 自然界からすれば、かいじゅうなんてちっぽけな存在なのですから。
 ただ、こんかいの件がじぶんの行動をかえりみる良いきかいになったのだとすれば。お天道様もけっしておにではないことがわかりますね。だからこそ、かいじゅうのかおに虹をかけてくれたのですから。