第5話 取り合えず

 翌日、キマシ塔にやって来た。

 何やら物凄い効果のある魔法の薬があるらしい。

 トリあに着くのが1日遅れるとしても、その魔法の薬は手に入れておきたいと満場一致で決定したのだ。

 今回は愛され僧侶、井手恵の提供でお届けして参ります。提供じゃなくて語りね☆


「案外たいしたことねーな?」

「そりゃあ、そうでしょ? 外よりも多少魔物は強力だけれど、魔王や龍と戦ってきた私達の敵じゃないわよ」

 孝雄君、紗菜ちゃんの言う通り、私達は、サクサクと最上階まで辿り着いた。

 そこには宝箱が一つ、ででんっ、っと鎮座チンざしていた。

 開けてみると、そこには噂通り魔法薬の入ったビンがあった。

「おっ、取扱説明書トリセツがあるぞ。なになに? この薬を飲むと、どんなガードの硬い女の子もたちまちあなたのとりこ? どれどれ」

「「「あっ!」」」

 ごっくん。孝雄君が飲んじゃった!

 って、あれ? なんだかめまいがしてきました。くらくらするぅ〜っ!

 あれれれれ? 孝雄君ってこんなにかっこよかったっけ? ドキドキしますぅ〜♡

 孝雄君に抱きつこうとしたところ、紗菜ちゃんに、

「ちょっと待ちなさいよ、めぐみん!」

と首根っこをつかまれ、床に投げ出される。

「孝雄、もう我慢出来ないわ。私を抱いて♡」

 紗菜ちゃんが孝雄君に迫るも。

「抜けがけはずるいぞ、紗菜!」

と華ちゃんに羽交い締めにされる。

 確かに。孝雄君は魅力的だけれど、私達3人だって苦楽を共にしてきた仲間だ!

 少し冷静になった。

 孝雄君は、

「美少女3人が、俺のこと取り合いに? くうぅっ! こんなハーレム展開を待ってたんだ!」

感慨深かんがいぶかげに呟いた。

 けれども。

「仲間を差し置いて、独り占めなど出来ない! 吾が手に出来ぬのであれば、こうするしか……。すまん、許せ、孝雄!」

 剣を抜き孝雄君に対峙する華ちゃん。

「孝雄……。愛するあなたを殺してしまうのは、正直心苦しいわ。けれども、これしか方法はないの。せめて苦しませずにあの世に送ってあげるわ。私の究極呪文マダテンで!」

 魔力のオーラを全身にまとわせ、右手を孝雄君に向ける紗菜ちゃん。

 そして私は、

「孝雄君、ごめんね? これしか方法はないみたい。私の必殺呪文で天国に旅立って? 血液凝固呪文ザーキラマ!」

と、孝雄君に人差し指を向けた。

「えっ! 取り合えず? 待て待て、俺を殺そうとするな。まずは落ち着け、落ち着こう。なっ、なっ! まあ、飲み物でも口にして……」

 そう言いつつ、残った魔法薬を私達の口に少しずつ含ませていった……。

 と。

「「「キマシタワー♡」」」

 突如、私の中で何かが弾けた。

 華ちゃん、紗菜ちゃん、なんて魅力的で魅惑的なの?

 今までも、一緒にお風呂入ったりした仲なのに……。

 呼吸が乱れ、ほおが身体が熱い……。

 僧侶服を脱ぎ去り、華ちゃん、紗菜ちゃんとひとつになりたい、溶け合いたい……。

 けれども、その前にっ!

 3人の想いは一致していたのであろう。

 邪魔な孝雄君ヤロウをロープでふんじばって、私達は一糸まとわぬ生まれたままの姿となり、3人は心ゆくまでひとつに溶け合った……♡


 後で知ったことだけれど、キマシ塔は百合の聖地。

 最上階のお薬は、百合力ゆりりょくを極限まで高める魔法薬なのであった。

 ちゃんちゃん♪


 続け

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

トリあえず ー続はなさないで ショートコント風冒険譚ー 魔女っ子★ゆきちゃん @majokkoyukichan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ