第4話 トリあ絵図(後編)

 話の内容をまとめるとこういうことだった。

①魔王城は砂漠の強国『トリあ』の敷地内に存在する

②『トリあ』は魔王城が邪魔である

③魔王軍は吾が国領地より引き上げよ! さもなくば討伐するぞ!

④もちろん、『ご迷惑お掛けして申し訳ございません★ 直ちに引っ越しますね』と引き下がる魔王軍ではない

⑤激しい戦闘状態におちい

⑥ただトリあ軍の装備がエグく、現状はトリあ軍の方が優勢。トリあ軍は『砂漠のトリ』と呼ばれているらしい

⑦なお『トリあ絵図えず』とは、トリあ軍の魔王討伐計画を指す


 おっと、紹介が遅れたようだ。

 今回の語りは、美少女戦士……。と言ってもセーラーほにゃららな感じではなく、ファンタジーロールプレイングゲームの職業の方の戦士。つまり美少女な戦士である、この美咲華みさき はなが担当する。よろしく頼むぞ!


「取り敢えず、トリあに向かうべきだな」

「そうよね? 魔王城もそこにあるんだし」

「おっぱい丸出しじゃない装備も売ってるかもしれません!」

 先程の防具屋は物凄かった。おそらく性能は良いのだろう。ただ、それ以上に、露出というかなんというかが、な?

 如何いかに優れていようとも、シジミビキニよろいは装備出来ない! 私は乳輪にゅうりんが……、いや何でもない(汗あせ)

 目覚めた孝雄は、まだ装備云々うんぬんとほざいていたが、

「なら、孝雄はこのイチモツ収納ケース装着な?」

と言ってやったら、静かになった。


 えず、昨日食べ損ねた『鶏合トリあ』(店名)で『鶏合トリあ』(メニュー名)を食べ、街を出た。

 トリあまではおよそ3日ほど掛かると見込まれた。

 勇者一行は無言で黙々と歩く。

 陽が沈む頃、一軒屋の宿を見つけたのでそこで宿泊することとした。

 歩いて、歩いて、時折戦闘。それが終わればまた歩く。

 体力には自信がある私でさえ、部屋に着いた時にはへとへとだった。めぐみはスライムに(ふにゃり)、紗菜さなに至ってはバブル風スライムになってしまっている(どろり)。

 しばし仮眠を取り、多少回復したところで、佐藤孝雄エロ大魔王を後ろ手に縛り壁に固定して、乙女3人で風呂に入る。

 何やら紗菜から、強烈な敵意を感じたが、風呂から出ると、それも収まった。

「5分で出ろよ?」

と孝雄を放ち、孝雄が出てきたのは15分後。

 4人そろっての食事とあいなった。

「それにしても、この宿にぎわってるね? こんな辺鄙へんぴな場所なのに?」

「なんか、近くに塔があるらしいぞ? なんでもキマシとうとか?」

「観光名所なのかしら? キマシタワーにキマシタワー♪ なんて」

 紗菜の言葉に笑う一同。しかし、それが現実となるなど、その時は想像だに出来なかった。


 続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る