第3話 トリあ絵図(前編)

 その後、孝雄が近くに営業してるお店見つけてきて、そこまでうように歩いて移動したわ★

 『這うように歩く』がわからない? そこはご想像にお任せするわ☆

 魔法使いにして一番の美人の高橋紗菜たかはし さなよ。えっ? 貧乳ひんにゅう微乳びにゅうあわちち? 誰がそんなことを!

 孝雄? あんにゃろう! 後で死なす!

 微乳びにゅうじゃないわ、美乳びにゅうよ!

 胸なんてね、大きくてもれてみにくいだけよ!

 私くらいのサイズが一番美しいんだから☆

 垂れようがない絶壁ぜっぺき

 よく言ったわね? 究極呪文マダテン餌食えじきになりたいのかしら?


 腹ごしらえした後は、宿屋に泊まって、温泉でしっぽり。

 めぐみんの胸にイラッとし、華の胸にちょい殺意を憶えたけれど、まあリフレッシュしたわ。

 一夜が明けて、さあこれからどうしようかというところ。

「取り敢えず装備を整えよう!」

 孝雄が言う。確かに一理あるわね。

 数多あまたの戦闘で私の魔法少女ローブもぼろぼろよ?

 めぐみんの僧侶服も同様だったけれど、何故かしら? 華のビキニよろいだけは無傷だったのよね?

 やたらと露出が多く、どこを守ってるのかわからない不思議装備にも関わらず、華ったらほとんど無傷っぽいのよね〜。

 訊ねてみると。

「この鎧は、どうも魔法のチカラで防いでいるみたいなんだ。試しに小石を投げてみるがいい」

 言われるままに、小石を拾ってけしからん胸に投げてみる。まだ垂れてないみたいだけれど、将来垂れる。絶対垂れる。むしろ垂れろ!

 っと、これじゃ私がまるで、『胸が小さいのをコンプレックスに思っている』みたいじゃない! 違うわ! 胸は、私くらいのサイズが一番美乳で美しいんだってば!

 えっ? 投げた小石はどうなったか? ですって? そうよね? 胸の大きさなんてどうでも良いわよね? むしろどうでもよくなれ!

 投げた小石は、華にぶつかる30cmくらいのところで、見えない壁にぶつかったかのように跳ね返った。

「な? 物理攻撃や魔法はもちろん、『天国火炎』や『輝く吐息』も、ダメージはかなり抑えられるんだ。本当に、この鎧は凄いぞ」

 こっちはその天国火炎で、足首まであったローブがミニスカ状態になったというのに★

 輝く吐息? 金色に、銀色に、そして桃色にと美しく変化したかと思えば、極低温ごくていおんの急速冷凍状態に。マグロじゃないんだから、急速冷凍はご勘弁願いたいわ!

 そんなこんなで防具屋に辿り着いた。そこには、想像を絶するような凄まじい防具がわんさかと存在していた。

「なななななっ! 紗菜ちゃん、これひもだよぉっ!」

「めぐみん、こっちはホタテビキニならぬ、シジミビキニよ!」

「女性魔法使い用最高防具があるぞ! 使用者の魔力を増大し、逆に魔法ダメージを極小化きょくしょうか。もちろん、物理攻撃や炎、吹雪の息等の攻撃にも耐性があるとのことだ。ただ、シースルーローブで透け透けというよりはむしろ透明。ローブの性能を100%ひゃくパーセント発揮するため、下には何も身に着けないで下さい、とあるが?」

「華、何よそれ! 見た目100%ひゃくパー痴女ちじょじゃない! シースルーが過ぎるわ!」

「こっちも凄いですぅ〜! 僧侶用逆バニースーツだって! 性能は申し分ないけれど、おっぱい丸出しなんて無理ですぅ〜!」

 なんだ、このラインナップは? 夜のコスプレ大運動会か?

「よし、買おう! 華はシジミビキニ鎧、沙奈はシースルーローブ、井手ちゃんは逆バニースーツだ! 輪チラに、透け透けに、おっぱい丸出し……。ぐへへへへ」

 孝雄が壊れて、エロ大魔王化した! 何よ、リンチラって? 乳輪がチラッと見えてる状態? 乳首見えてないから大丈夫ですって? 「大丈夫な訳あるかぁ〜っ!」

「わわっ! 沙奈ちゃんの右アッパーカットが孝雄君のチンを完璧にとらえました〜っ! 撃沈げきチンですぅ〜!」

「魔法使いとは思えない威力! あの右腕は世界を狙える……」

 華が腕組みしたまま、何やらうなずいている。いや、私、ボクサーなんて目指さないからね?


 ダウンした孝雄を連れて、広間のベンチで休んでいると。

「トリあ絵図えず? って、あの魔王討伐の……?」

「ああっ! 魔王城を敷地内に持つ強国、『トリあ』の魔王討伐計画だ。いよいよ魔王軍もヤバいかもな」

 という会話が聞こえてきた。気を失っている孝雄を除く3人は、一斉いっせいに耳をそばだてた。


 続く

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