敢えて云おう、この物語は「大人」でなければわからない、と──

R-35、なんてレイティングをもじった気の利いた選曲集があったのを思い出す。
私は、聞いたこと無いけれど、多分聞いたら……あぁ、知ってる、と思える曲ばかりだろう。

この物語は、少しつらく苦い経験を体験した「大人」のほうが、味わいをより感じられるのではないでしょうか。少なくとも、少年少女には「まだ早いよ」と言ってしまいたくなる、そんな大人の味のする物語です。

主人公の心情が、読み手に乗り移ってきたような、そんな同調感さえ感じる、素敵な人間描写……
そこにあるのは、読み手の経験さえ問うてくるような、そんな重厚な心の動き

でも、決して重苦しくも、暑苦しくもない……

全てはひとときの旅の思い出
そして彼女は日常に帰る

そんな小さな現実逃避でも、彼女の生きる力になれば
そう思ってしまいました。

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