一筋縄ではいかない登場人物達と世界観、そして主人公

どの登場人物たちも滅茶苦茶に軸がある。そして大抵は頑固者たちです。

人が持っている根っこの部分はそれぞれ違うので、一度和解しても決裂することがよくあります。但しそれらは浅い物語によくある、展開の都合上に見えるような不自然なものではなく、個々人の軸に起因するものなので決裂に納得ができます。そういう物語は内面を掘り下げるあまり重厚で読むのに体力を使いしんどいことがありますが、この物語は主人公の苛烈さ故、突っ走る爽快感のほうが大きくライトに読めます。

非常に魅力的な登場人物が多い中、輪をかけて好きなのは主人公です。

台詞だけを見れば傲慢・苛烈といったいけ好かない野郎で、実際に突っ張ってます。
しかしその端的で苛烈な言い回しと、自ら体どころか心も投げ売って他者を救おうとする献身ぶりが彼の言動に説得力を生んでいます。

俺TUEEやライトすぎる展開に飽きた、分厚いファンタジーと格好いい神官主人公を見てみたいと思われたなら非常にオススメです。

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