主人公は小学生女児。母親を亡くしてから、吃音症を発症した。
そんな主人公に残されたのは、母親が使っていた古いパソコン。
ある日、そのパソコンにハローワールドというところからメールが届く。メールには主人公と友達になりたいというメッセージがあった。その日から主人公はその人物とメールのやり取りをするようになった。その人物はいつでも主人公の味方で、あっという間にメッセージのやり取りが楽しくなった。
学校でいつものように吃音を揶揄われた主人公は、揶揄った同級生を懲らしめてくれた転校生を見て喜んだ。そのことをメッセージとして送ると、相手は初めての反応を返すのだった。
果たして、ハローワールドとはどこをさしているのか?
謎めいた呪文のようなそこは、誰にでも門を開いている。
主人公がたどり着く真実とシングルファザーとしての父の想い。
とびっきりの優しさに包まれる感動作。
是非、御一読下さい。
これは私のための物語だ! そう心の底から思える作品に出会えて本当に良かった。
吃音の少女を描く本作は、私自身の小学生時代を思い出させてくれた。(吃音ではなかったけれど、似たような悩みを抱えていた)
あまりにも刺さりまくって、ボロボロと馬鹿みたいに泣いてしまいました。小説を読んで号泣しちゃったの久しぶりです……。
この作品を小中学生の頃に読んでいたら……。と思わずにはいられない。
成人した今読んでなおこれほど刺さるんだから、当時の私が読んでいたら人生が変わっていたかもしれない。
そういう意味でも、世の小中高生にこそ読んで欲しい。
この作品に人生を救われる人が絶対に存在するし、過去の私もきっとそうだった思う。
上手く言語化できないですが、この小説は「人を救うことができる」作品だと思います。
同級生と上手く話すことが出来ず、悶々と苦しい日々を送っていた過去の私のような誰かに届いてくれ!
別の世界に行きたいと願ったことがある。失ったはずの大切なあの人が今でもそばにいる、こことは違うパラレルワールドに。なぜならこの世界は一直線で、僕の行く先にはゴールなんてないと思っていたから。でもこの小説を読んで、僕は自分の間違いに気付いた。世界は直線ではなく円だった、円環していた。
小説の主人公茜も、様々な出来事を通して心を巡らせていき、そして自分が還るべき場所に戻っていく。母親と一緒に回った観覧車の乗降口が同じ場所であるように、絵本の中の女の子が旅の果てに一周して元の場所に帰るように。茜という名前も、夕暮れと朝焼けという二つの意味を持つ希望の循環。そしてその円環の旅を助けてくれるのは、皆と関わろうとする少しだけの勇気。
お互いの悲しみを持ち寄りながら、自分だけのハローワールドを探していく旅。その存在を教えてくれたこの小説に、僕は心からありがとうを言いたい。そこがあるとさえわかっていれば、回り道をしながらでも少しずつ歩いていけるから。そしていつかあの人に会えたなら、きっと。
ハロー、久しぶり。どうしてた? 僕の方はさ…