白白白白白雪姫
竜田くれは
世界で一番美しいのは
「鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだあれ?」
「貴女では無いことは確かです」
「はあ!?」
うるさいわよ!天才美女の私に決まってるでしょ!せめて忖度しなさいよ!
「じゃあ誰なのよ?」
「白白白白白雪姫です」
「なんて?」
白って何回言うのよ。
「白白白白白雪姫です」
うちの鏡バグった?
「へ、へぇ〜、でどんな奴なの?」
私より美しかったら毒殺でも検討しようかしら。
「こちらになります」
鏡に映し出されたのは、白。
ホワイトアウトでもしたかのように鏡の中は全てが真っ白で何も見えない。
「何これ、真っ白じゃない」
「よく目を凝らしてください、居ますよ?そこに」
いや、見えんわ。
「仕方ないですねぇ」
イラッとする口調で鏡が言うと、背景の色が赤になった。
「最初からそうしなさいよ」
背景が白でなくなった為に、白五乗姫の全貌が明らかになった。
雪のような白い肌。纏う衣は白磁が如く。
これは確かに美しい。確かに美しいんだけど……
「肌白すぎない?色素どうなってるわけ?」
雪のようなと表現したが撤回。肌の色かしら?これ。
全く生気が感じられない。表情も固まってるし。
「この白白白白白雪姫は、森に住む七人の小人が造り上げた
人間じゃなかった。
「美しいって芸術的な意味で?」
「そうですが?」
人間の顔とスタイルの話がしたいのよこっちは。
「では、白銀姫ですね」
前のよりもまともそうな名前で安心した。
今度は最初から
「こちらをご覧ください」
あら、可愛い。私の方が可愛いけど。
映し出されたのは一人の少女。
小柄で顔立ちのよく、もう少し成長すれば国を傾けられそうな絶世の美少女に感じた。まあ、私も国を傾けられるけど。
「素晴らしい、けど私の方が美しいわよね?」
「果たしてこれを見てもそう思えますか?」
続けて映し出されたのは、衝撃的な光景だった。腕と顔がドリルとなり、木材に穴を開けていた。
「ナニコレ」
「機能美です」
ドリルになる前は装飾付いてるんだから機能美でも何でもないでしょ!
怖いし。
「いい加減にしなさいよ」
そろそろちゃんとした答えが聞きたくなった。
もう一度聞くわ。
「世界で一番美しいのはだあれ?」
「すぐに正解を出してもつまらないじゃないですか。答えは貴女で決まってるのに」
白白白白白雪姫 竜田くれは @udyncy26
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