向日葵が導く未来景

 夢かうつつか、その境目の無いリアルな夢に紡がれた一つの箱。そこから幻視のようにその中身が優しく開かれます。夏の風景が未来へと手招きするように、張られた糸が身を貫くほどに走り抜ける鮮やかな回収劇。そして美しい風景描写と弾かれたように突き動かす衝動感とが行く末の彼方を照らし、導かれるストーリーに心が安らぎを覚えます。
 ありありと浮かぶ情景の数々と移りゆく繊細な心の機微とを感じてください。ふとした風景に心の風が優しく流れていく美しい物語です。