第5話 -死にたい私はEでした-
「「「?!?!?!?!」」」
教室の皆が驚き、ざわざわとする。
中には「あの噂は本当だったのか」とか、そういう声も聞こえる。
「(人気だな)」
俺は彼女に話しかける。
「話題になってるだけだけどねー。あとは、転校生パワーかな。」
そんなことを話していると、先生が言葉を発した。
「静かにしなさい。」
その先生の一言で、クラスが静寂に包まれる。
「そこで、だ。お前たちには一つ、課題を出すことなった。課題といっても、できるのは一人だけだがな。」
みんながゴクリ、と唾を飲んだ時、その衝撃言葉が発せられた。
「お前らには、行方不明になった、ハルカ・シノゾムの捜索に当たってもらう。もしも発見、学校へつれてくることができれば、ランクが1つ上がる。とのことだ。」
「!!!!!!!!!!!!」
その瞬間、クラスの皆が歓喜する。
───なぜか。それは簡単だ。
なぜならこのクラスはEランクのクラスであり───
最低ランクのクラスであるからだ。
「ねぇねぇ。」
クラスの皆が喜ぶ中、一人だけ自分に話しかける者がいた。
転校してきて、一日でクラスから外れた彼女だ。
「ランクってなに?」
「(お前、そんなことも知らないでこの学校に来たのか?)」
「いや、えぇと、なんというかなぁ。ランクって、頻繁に上下するの?いってしまえば、行方不明者の捜索、そんなことってよくおこるの?」
「(別にそんなことはないな。お前が特殊なだけだろ。それに行方不明者、死者はこの学校じゃ珍しいことじゃない。なんせ、魔法学園であり、冒険者を育てるところだからな。)」
「なるほどなぁ。」
「そうだ、これも伝えておかなければな。」
皆が興奮しているその時、先生が口を開いた。
「この課題が終わる条件は、誰かがハルカ・シノゾムを連れて帰る。または1週間が経過する。このどちらかだ。それまで授業は自習ということになる。自由にしろ。」
「そして最後に、一つ伝える。ライバルはこのクラスだけじゃないということだ。武運を祈る。」
そう言い残して、先生は教室から出て行った。
そしてその後、すぐさま教室を出る影があった。
「ほとんどいなくなったわね。」
「(まぁ、みんな焦ってるからな。なんせここは最低クラス。いわば落ちこぼれだからな。)」
そこで、思い出したかのように彼女は言った。
「そういえば、あなたなんでEクラスになんているの?」
「(そりゃ、俺が落ちこぼれだからだろ。)」
「そんなわけがないじゃない。私、一応勇者だからVIT、防御力は高いほうなのよ?そんな私を一撃。しかも魔王になろうとしている。正直、魔王の素質あるわよ。」
「(一撃だったのはお前が油断してたからだな。)」
「油断してなくてもあなたは殺せたんでしょう。どーせ。」
───さっきから邪魔な魔力があるな。
ハルカと会話をしているとき、いやな魔力があった。
そう思ったとき、誰もいないと思われたこの教室から、一つの声がする。
「ねぇ、君はそんな空気をぼーっと眺めてていいんですか?皆みたいに行かなくていいんですか?」
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