第4話 -死にたい私は登校しました-

あれからなんてこともなく、普通に寝て、翌日になった。

私に睡眠は必要ないっぽいけど、すっきりと眠れた。便利な体ね。

「おはよう。」

私は、すでに起きていた彼に、声をかけた。

「なんでお前のほうが起きるのが遅いんだ。」

「私が遅いんじゃなくてあなたが早いのよ。」

そんなに早いか?とでも言いたげな顔をしている彼に、さらに話し続ける。

「今日はどうするの?」

「学校に行く。」


は?



そして、学校についた。

「いやなんで普通に学校に来てるのよ!?!?この殺人犯め!!」

「(あーうるさいな。これからは念話使って話すぞ?お前と話してると周りからは変人でしかないんだよ。)」

突然、そう頭に響く。

「(こいつ、直接脳内に!?)」

「(え、君って念話使えたっけ)」

彼は顔に出さないで、声だけで驚いている。器用なやつね。

「(確かに珍しいのかもしれないけれど、戦場じゃ必須だからね。みんな覚えさせられてたわよ。というか、あなたも使えてるじゃないの。)」

そう伝えると、彼も何か納得したのか、そっか、とだけ返した。


「まぁ、念話は疲れるから、普通に話しかけるけどね。」

そりゃ、やる必要がないならやらないわよ。


「というか話をもどしてもいいかしら?なんで普通に来てるの?」

「(いや、来ない理由もないだろ。確かに君が死んだことは騒ぎになるかもしれない。でも、普通を演じてる自分が、疑われるわけもない。証拠は完全に消したしね。)」

「もう少し懸念すべきなんじゃないの?一応、この国最大の学園なのだから、セキュリティしっかりしてるかもよ?」

「(そんなことないから大丈夫。第一、誰かが気づいても、何もなかったことにできるから。)」


何もなかったことに……って、どういうことだろ?

でも、彼なら……という、いらない信用があるわね。


って

「おいていかないで~~~!!」

考え事をしている私を放置して、彼は校舎の中へと入っていった。



教室に入ると、なにやら騒がしかった。

耳をすませてみると、皆が何か一つの話題について話しているということがわかった。

まぁ、見当はついているのだが。

一応知らない体を守るため、すぐそこにいた……えーと名前なんだっけ、……に聞いてみた。


「なあ。みんな騒がしいけど、一体なにかあったのか?」

「ん、君は聞いていないのかい?」

「聞いているって、何を?」


俺がそう聞き返すと同時に背後からガラガラと、扉が開く音がした。

先生が入ってきたようだ。

「(あぁそうか、あいつにあわせて登校したからいつもより遅かったのか。)」

わざわざ念話で言うな!と言われた気がするが、知らんぷりをする。


とはいえ先生が来たと言うことで、俺は着席をした。

そして、俺たちは先生の言葉を待つ。


「えー。昨日転校してきた、ハルカ・シノゾムだが、行方不明となった。」

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