硲ノ箱ハ生ルー5〆




「 雨が降ると

  怖い音が聞こえる・・・ 」


か細く小さな手が

つないだ手を

必死ににぎってくる。


溫彌はるやの耳には

あの鈴の

咆哮ほうこう

聞こえているのだ。




碓井溫烱うすいはるき

優しく二度握り返し、


「 もし怖い音が聞こえたら 」


「 聞こえたら・・・? 」


「 ドラえもんを歌おう! 」


「 え?! 」


「 ドラえもん、

  TVマンガの、やっとるだろう 」


「 わかんない・・・ 」


「 そりゃあイカンなあ。

  観よう!

  面白いぞー! 

  オレは大好きだ!

  きっと溫彌はるや

  楽しいぞ! 」


「 うん観たい 」



寺に帰ったら

次の放送日を確認しようと思った。



 


♪ボクのドラえもんが町を歩けば

 みんな みんなが

 振り返るよ

 はぁ~ドラドラ はあドラドラ ♪





溫彌はるやの笑い声が

響いた。


 



  

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木理の剥離片ー『知ってはイケナイ。』ー目録弐 晴れ。 @Nirvana852

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