第23話 サボテン2

俺がネハンから戻って数日後。

朝、愛犬の散歩に出ると、踏切近くの小さな四角い花壇に、サボテンが生えていた。形といい、大きさといい、以前俺の家からいなくなったサボテンにそっくりだった。俺はしゃがみ込んでそのサボテンを手に取って見る。表面の針が少しちくっとして痛かったが、すぐに花壇から外れた。

どうしようかと思ったが、俺はそのサボテンを肩に乗せて、散歩に連れて行くことにした。

そしてそのまま家まで連れて帰り、トイレの窓際の鉢に置いた。

後ろからそれを見ていた妻が、

「サボテンなんか触ってどうしたの?痛くない?」

と言う。どうやら妻の記憶にも、こいつは戻ったようだ。

大丈夫と言って妻を安心させた後、俺は鉢に戻ったサボテンを見た。

何だかとても嬉しそうに見える。

これからは時々散歩に連れて行ってやろうと思った。

お帰り。

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閑話 六散人 @ROKUSANJIN

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