前向きに

「とまぁ、こんな感じで家を出たの。8年も会っていなかったから今更どうしていいかわからない…。」


雫は自身のことを話し終えると俯いてしまう。


ちらっと真琴の表情を見ると難しそうな顔をしていた。


長い沈黙の後に真琴が口を開いた。


「雫さんって…もしかして今20歳なんすか?」


「そう…だけど…?」


「えぇーーーー!!マジっすか?!

てっきり年下だと思ってました!」


思わぬ質問に雫はなんだか拍子抜けしてしまい、フッと笑ってしまった。


「篠田くんって変なところ気がつくよね。今の話聞いて第一声が年齢のこと言われるなんて思ってもみなかった。」


「いや、確かに雫さんが人を殺す姿を見て戸惑う兄弟の気持ちもわかるんすけど…

(現に俺も最初見て吐いちゃったし…。)

でも雫さんの根底にはお兄さんや一華さんを守りたいって気持ちがあったんですよね?

だったらそのこと、ちゃんと話した方がいいんじゃないかなって思いました。」


「そう…だね。次会った時にはちゃんと話したい。私の考えてること、思ってること。」


「そうっすよ!何も言わなくても伝わるなんてこと、ないですからね。」


真琴は雫の表情が明るくなってきたのを見てホッと一安心した。


(雫さんの兄弟が絡む今回の依頼…。無事に解決できるといいけど…。)


少し不安を覚えた真琴だったが場を和ませようと話題を変える。


「あっ、そうだ!お菓子!雫さん一緒に食べましょう!」


「うん。」


真琴の明るい声が今日も響き渡る。


そんな日常が心地よいと感じる雫であった。








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裏道シェアハウス 細谷 幸叶 @BKW881

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