あの日の自分
--その後、私は警察に連れて行かれたが正当防衛が認められ、釈放された。
そして危険な任務がある際にはお祖父様に同行し、やむおえない場合は人を殺すことも厭わなかった。
大人たちが私のことを最年少なのにすごい腕の忍者だと褒める一方で、兄弟たちからは何も言われない日々が続いた。
将兄は私の顔を見ると逃げるし、一華はまだ幼い秋斗を私と会わせないようにと一緒に行動している姿がよく見られた。
そして、兄弟たちとの会話がないまま1か月が経とうとしていた頃、たまたま廊下で一華と遭遇した。
私は黙って通り過ぎようとしたが、一華に呼び止められた。
「雫!周りの大人たちはあんたばっかり褒めてるけどあたしは認めないよ!
昔から何考えてるのか全然わかんないし、いっつもあたしより先に行っちゃう…。あたしの方がお姉さんなのに…。だから嫌いなのよ。
この人殺し…!」
『人殺し』と言われた瞬間、私は怒りに身を任せ、気がつくと一華の首をしめていた。
「ぐっ…、ほら、ね。なんの躊躇いもない。」
私はその言葉にハッとすると手の力を緩める。
自分の手を見てなんてことをしてしまったんだと体が震えていた。
「ち…、違うの。一華、私は一華を殺すつもりなんてない…。」
「この嘘つき!!普通怒って首絞めるとかマジ考えられない!!それにあたし見たんだから!
あの日、リーダーの心臓を刺してた時の雫の顔…笑ってたよ?」
「えっ…?そんな…こと、、、、」
私の頭にあの日のことが駆け巡った。
(確かにリーダーをグサグサに刺していた時、私…心のどこかで楽しんでいた…?)
「あ、、、、あぁ、、。」
私は頭の中がパニックになった。
一華から逃げるように廊下を走ると自分の部屋へ一目散に逃げこんだ。
「ハァハァハァ…」
(もうここにはいられない。このままじゃ他の誰かを傷つけることになる。出よう。)
そう思い立った私は急いで荷物をまとめると誰にも気づかれないようにして家を出た--。
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