プロローグ
吸血鬼の少年とエルフの少女はいつも通りの通学路を馬車に揺られて、学院に通っている。
吸血鬼の少年の名は、アラン・レヴィア・フォン・アディノール。アディノール公爵家の次男で一緒に馬車に乗っているエルフの少女の婚約者だ。
エルフの少女の名は、リーシャ・フォルン・ラ・フリューゲル。フリューゲル公爵家の次女だ。
リーシャが「ねえアラン、今日の最初の講義って何だったっけ?」とアランに問う。
それにアランが「剣術だ。」と簡潔に答えた。
リーシャは顔を嫌そうに歪めて、「えぇ〜、私剣術あんまり好きじゃないんだよねぇ。」と言った。
それに対してアランは呆れながら「仕方がないだろう。というか、君は剣術の講義だ
とわかるといつもそれだな。嫌いなのもわかるが、勉学のために来ているんだ。諦めろ。」
リーシャは、「諦めろって、ひどっ。そ~だけどさぁ、嫌なものは嫌じゃん。汗かくし、剣術の講師の先生あんまし好きじゃないんだよね。なんか暑苦しいし。」と剣術の講義が嫌いな理由をつらつらと述べる。
アランは溜息を吐いて、「はぁ。それ、本人の前で言うんじゃないぞ。あと、毎回同じことを愚痴らないでくれ、流石に聞き飽きた。もう何回目だと思ってる。」とリーシャに文句を言う。
リーシャは律儀に愚痴った回数を数え始め、「え〜っと、いち、に、さん、し、ご……。あーもう数えるのめんどくさっ、うーんと何回目?」結局めんどくさくなってやめた。
アランは「知らん。俺に聞くなよ。そんな律儀にいちいち数えてないんだ。」と素っ気なく返す。
ガタンと少し揺れたと思うと、馬車が止まり馬車の扉が開いた。
御者が「アラン様、リーシャ様、学院に着きました。」と言う。
アランとリーシャは「ありがとう。」と御者にお礼を言って馬車から降りる。
タイミングを測ったかのように、「やぁ、おはよう。アラン、リーシャ。」と挨拶をしてくる者がいた。
「おはよ、ジーク。」とリーシャは軽く返す。
「毎回毎回よく飽きないな。王太子サマ。」とからかうようにニヤッと笑ってアランが言う。
彼はジークハイト・ファルト・フォン・エーデルガルト、エーデルガルト王国の王太子である。
ジークは「はは、からかうのはよしてくれ。別にいいじゃないか。友人に会いたいと思うのは当然だろう?」と笑いながら返す。
「そうだな。」
「おはようございます!リーシャ、ジーク、アラン!」と小走りで三人の近くに来た彼女は、ルイーゼ・シュナイ・ラ・エンライズ。ジークハイトの婚約者で、リーシャとアランの友人だ。特にリーシャとは仲が良い。
リーシャは「おはよう。あれ、今日は髪型違うんだ。かわいい。」とルイーゼの髪型を見て褒める。
ルイーゼは「ありがとうございます。髪飾りはジークがプレゼントしてくれたものなんです。」と嬉しそうに微笑んだ。
「良かったじゃん。ルイーゼの髪の色によく合ってて可愛い。」と褒めるリーシャ。
ジークは「ふふ、とても喜んでもらえたみたいで嬉しいよ。最近、私は公務に追われていて会えるのは学院ぐらいだったからね。謝罪の気持ちも込めてプレゼントを送ったんだよ。」と言う。
それに対してルイーゼが
「いえ、ジークの大事なお仕事ですから。それに学院で会えるんです。それだけでも嬉しいですよ。」と微笑みながら答える。
「くぅっ!ルイーゼが可愛い!ねっ、ねっ、アランもそう思うでしょ?!」
とリーシャが胸を抑えて悶えてアランに同意を求める。
「あー、そーだなー。ってかいつまでも話しててたら講義遅れるぞ。」アランはそれを見て諦めたように適当に返事を返し、3人を急かす。
「はっ!そうだった。急げー!」
「あはは、そうだね。急ごうか。」
「そうですね、急ぎましょう。講義に遅れたら元も子もありませんから。」
「はぁ、そう思うんだったら、早めに教室に行くぞ。」
吸血鬼の少年とエルフの少女の日常は今日も始まる。
吸血鬼の少年とエルフの少女の日常。 南海 樹 @itsuki83180141
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