林くん

すみはし

林くんは人気者です。

林くんはお喋りだ。


まるで立て板に水。


けど、私と二人になると黙ってしまう。


林くんは人気者で殆どの人とは仲良くするけど、


嫌いな人には冷たいと噂で聞いた。


私は嫌われてるんだろうか。


■□■□■□■□


林くんは人気者だ。


いつも周りに人が居る。


心から羨ましいと思う。


開けるくて優しくて面白くて気が利いて、


これほどまでに完璧な人は居るのかと思うくらいだ。


だけど唯一の欠点はきっと


好き嫌いが激しいところだと思う。


■□■□■□■□


林くんは目が大きい。


大きな猫目が表情豊かに細まったり見開いたりする。


だけど私と二人になるとその目は半分ぐらいの大きさで、


いつも私を睨みつけている。


けどきっと林くんの視野の真ん中に居るのは


この時だけは私なんだろう。


■□■□■□■□


私は林くんが好きだ。


だから嫌われてるのがとても辛い。


どうにかして普通くらいにまで


格をあげられないだろうかと思うのだけど


ひと学年二百四十人中二百二十八位の成績の私には


いくら考えてもその方法はわからない。


■□■□■□■□


林くん林くん林くん


私は君が好きです。


こんなことを言ったら私はますます嫌われてしまうかもしれない。


ドMかお前はと罵られてしまうかもしれない。


いやいや、私は林くんが好きだけど


別に罵られたいわけじゃない。


私にも笑って欲しいし、話もして欲しい。


人気者の瞳にしっかりと写っていたいだけなのかもしれない。


■□■□■□■□


「林くんは私のことが嫌い?


 私は林くんが好きなんだ」


ついに言ってしまった。


うっかりってやつだ。


しかも直球にもほどがある。


ぽかんとした顔をしている。


そりゃそうだよ、うん。


けど予想外に林くんは首を横に振った。


嫌いじゃないよって。


それだけで満足だよ林くん。


■□■□■□■□


林くんはこう言った。


「好きなやつの前でだと緊張して喋れなくて



 いつも黙ってかっこ悪いし、失礼なのに」


嬉しすぎて顔が熱いよ。


可愛すぎるでしょ、君。


やっぱり欠点訂正。


林くんの欠点は意外と照れ屋なところみたいだ。


完璧人間としては欠点だけど、


私にとったらそんなとこも大好きです。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

林くん すみはし @sumikko0020

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ