第2話 襲来
朝から外が騒がしい。
俺は耳を澄ませる。
「
ドカン!と爆発音も聞こえる。
俺は自分には関係ないと思い
「ですよね〜」
「ゼツ様!早くご
俺はとりあえず何が起こったか聞いてみる。
「山の主であるヤマノタタリが暴走し、街を襲撃してるのです!」
「はぇ〜」
山の主とはクーデンベルク帝国の北西に位置する父上の領土付近を取り巻く巨大な山脈の強者の事だ。
「お前ら気をつけろ!ヤマノタタリは石化する毒を持っているぞ!」
窓から見てみるとみるみるうちに石化させられた人間がわんさかと現れる。
「クソだりぃな…。
俺は小さな声でヤマノタタリに向けて言葉を放つ。
放たれた言葉を聞いたヤマノタタリはいきなり倒れピクピクと
その光景を見ていた兵士らは腰を抜かし、白目を向いているものもそこにはいた。
ヤマノタタリ襲撃事件から半月がたった。
俺の部屋にメイドがくる。
「?」
父上が俺を部屋に呼ぶことが稀だった。
何かやらかしたか?
もしかして魔物を消しすぎたか?
そのような不安で満ちている俺は部屋の中に入った。
「原因が分かったかもしれん」
「え?」
「ヤマノタタリ襲撃事件のだ」
「は、はぁ〜」
「ヤマノタタリの死体はその場で消滅した…」
「でも死体を消せる魔術・魔法もありますよね?」
「そうだ、もちろん存在はする…。だがこんなに質が高いのはかなりの
「は、はい」
「それを元に考えた結論だが…。もしかすると禁忌魔術である【
その後、適当に会話した俺は自室に戻った。
元アイリスこと現ゼツ・イリミヤは自身の危険人物ノートにフィファ・イリミヤという名前を刻んだ。
「あ〜、フィファは父上ね」
でも心から父上は凄いなと確信したよ。一応俺は伯爵家だけど
そして3人は公爵という1番上の階級だがその中で1人場違い貴族がいる。
それが【イリミヤ家】
父上は下等生物人間でありながら少し知恵がある優れた人間だ。
「警戒しないとな」
ある日の昼下がりガランガラン!と音がうるさい。
「おい!ゼツをここに出せ!!」
「少々お待ち下さいませ」
父上が俺と同じ歳ぐらいのガキに頭を下げている。
「父上お待たせしました」
父上が喋ろうとする時、そのガキは話を遮るように俺に言葉を放った。
「おいガキ!お前四武家の子供だからって調子乗りすぎだぞ!!」
「はい?」
「あーー!!もういい!ぶち殺す」
ガキは剣を抜いた。
ガキは走りながら俺に向かい剣を振り下げる。
「ったく…その程度か…」
おれはガキの腕を掴み剣を奪い首元に刺しつける。
その秒数は刹那だった。
ガキは震えていた。
ガキが諦めずに立ち上がろうとした瞬間。
女の声が聞こえた。
「やめなさい!ミカエル!!」
「姉上…」
「失礼しましたゼツ様…そしてフィファ・イリミヤ様」
「父上この方達は?」
「あぁ、この方はクーデンベルク帝国の第一王女であるアリス・クーデンベルク様とその弟のミカエル・クーデンベルク様だ」
さらにアリス王女はスカートを持ち上げ丁寧な振る舞いをした。
「ご紹介に預かりました。私がアリス・クーデンベルクそして弟のミカエル・クーデンベルクです!」
とりあえず王族に振る舞うために接待室へ向かいお茶を出した。
「さてアリス王女この度はどのような件で?」
「今回は帝国付近で出た山の主であるヤマノタタリの件でまいりました」
あぁ〜なるほど
「それと少し耳にしたのですがこの辺りで最近魔物が出現しないとか…」
「ピュピュ〜」
父上が俺の方を見る。
「すみません。魔物の件は恐らく息子だと…」
「なんと!?!?」
「我が息子は少し特殊でこの歳にして我が兵士長を倒す実力の持ち主で…」
「それは!ほんとに子供でしょうか?」
「そうだと思いたいです」
「分かりました、今回は数々の無礼もあったため引き下がりたいと思います。」
アイリス王女とミカエル王子は立ち上がり部屋を去ろうとした。
こころなしかアイリス王女は俺の方を振り向きニコッと満面の笑みを送り、ミカエル王子は次は勝つぞ!という感じで睨んで来た。
「まぁその場しのぎは出来たかな?」
人類滅亡させたい俺と人類救いたい君 紫宮めい @meimei15
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