第18話 「7/25(火)スクリム1日目 その①」

顔合わせ配信から数日が経過した。この数日の間に大きな出来事があった。それは【the after planet】を作った会社が倒産した事だ。それによって【the after planet】はプレイできなくなってしまった。このゲームが発売されて僅か1週間程の出来事だった。


「…いつまで落ち込んでるの?」 

「もう、アフプラができないなんて……」


だいぶ星乃さんは落ち込んでいるらしい。アフプラとかいう略称をつける程にはやり込んでいたのだろうか。まるでわが子を失ったような声を出している。


「遊べるクソゲーだったのに……」


違った。好きなおもちゃが無くなって悲しんでるだけだ。


「しっかりしてよ!後2時間ぐらいしたらスクリム始まるんだよ!」

「分かってる…ちょっと顔洗ってくるわ…」


あまりに声に覇気がないが大丈夫なのだろうか。水無瀬さんが言っているように後2時間程したら1日目のスクリムが始まる。まだ1日目だからと言って遊ぶ事は出来ない。俺は初めての大会参加だ。けど、勝ってみたいんだ。大会というもので。


「今回の大会も凄いメンバーだな〜」

「そうですね。皆さん強いです」


今回のRaising cupもえげつない強さのメンバーが揃っている。エンジョイ大会ではあるが結構ガチでやらないと勝てないらしい。俺たちが勝てるのか分からないが優勝するために頑張らないとな。


「切り替えましたー!よろしくお願いします!」 「おかえり〜大丈夫そ?」

「マジで大丈夫。abcx頑張るわ」


水無瀬さんと話してるいると星乃さんが戻って来た。だいぶ切り替えられたらしい。よかったね。


「さて、みなさんサプライズがあります!」

「なになに?」

「な、なんですか?」


今日はまだabcxをやれてないのでアップしようと思ったら水無瀬さんから突然のサプライズがあるらしい。


「なんと!このチームにコーチがついてくれる事になりました!」

「マジで!?最高じゃん!」


普通にコーチがついてくれるのは助かる。俺たちじゃ分からない事も別の視点から見てくれる。それによってチームの底力を上げる事ができるだろう。コーチが来てくれる事によるメリットを考えるといつも通りのデェスコの機械音が流れる。


「入って大丈夫でした?」

「全然大丈夫ですよ!」

「え……」


こ、この声はもしかして……


「SKさん、ですか?」

「あれ、私の事知ってるんですか?」

「も、もちろんです…!ファンですから!」

「それはそれは。応援してくれてありがとうございます」


まさかSKさんがくるとは思わなかった。なんというか…マジで嬉しい。それはそれとしてめちゃくちゃ緊張してきた。


「じゃあ改めて自己紹介します。SKこと坂本です。今はストリーマーと解説者してます」


「空色ライブ所属、2期生の星乃ひかりです!クソゲーの王です!よろしくお願いします!」


「はい。クソゲーの王さんよろしくお願いします」

「はい!よろしくです!」


最初に星乃さんの自己紹介が終わり、次は水無瀬さんだと思ったら──


「あ、僕はもうしたんでパスで。カイさんどうぞ~」


どうしてですか?(困惑)めっちゃ緊張してるんだって!でもしないと駄目ですか?……駄目ですよね~。じゃあ、やらせてもらいますね。


「き、如月カイです。よろしくお願いします」 「はい。よろしくお願いしますカイ君」


はい。最高です。彼と話せる事がマジで最高です。目の前に昔から応援してる人がいるんだぜ?マジで全然どもらなくて良かった。この後喋れるか分からんけど。


「じゃあ早速なんですけど得意なキャラなんですか?」

「僕はレイサーだな」

「アタシは特にいないかも」

「お、俺は余ったやつ使います」


「分かりました。とりあえずスクリムがどんなもんか見てからキャラピックは考えましょう」


なるほど、確かに。スクリムがどのような環境か分からない。最初は自分の得意なキャラを使って戦う方が良いな。


「まだ時間あるんで訓練場でアップしましょうか」

「おっけー!誰かタイマンしよ!」

「俺、できますよ」

「りょうか〜い!」


既に全員ロビーに集まっていたためにすぐに訓練場に行けた。マッチングも早いし訓練場は素晴らしいぜ!


「ハンドガンで良い?」

「良いですよ」


いつも通りのタイマンが始まる。ちなみに使ってるキャラは どちらもレイサーである。


「じゃ、3、2、1!」


フレンドリーファイアがオンに変更され相手を攻撃できるようになる。そしてその瞬間銃弾が頭の近くを掠める。


「危な!」


なんとか当たらなかったのですぐさま撃ち返す。だがタイミング良くしゃがまれたので当たらなかった。


「痛っ…」


開始して6秒ぐらい経ち、どちらも2発ずつ当たりもう少しでアーマーが割れるぐらいだ。…それから数秒程してアーマーが割れ、体力も少し削られた。しかし、こっちも同じくらい削っている。後数秒で決着するだろう。


「わ〜!最後ガバった〜!」

「ギリギリでしたよ」


なんとか勝つ事ができた。あと1発当てられたら普通に負けてた。マジでギリギリだった。やっぱり水無瀬さんはエイム良いな。


「イツキ〜次はアタシとやろ」

「うん!ボコボコにするね!」

「如月さんに負けたからってアタシをサンドバッグにしようとしないで!?」


今度は水無瀬さんと星乃さんでやるらしい。見ようかなと思ってるとSKさんから声をかけられる。


「カイくん」

「は、はい!」

「私の事知ってたんですよね?」

「はい。バトルシークエンスやってたんで!」 「あぁ、なるほど。…今度一緒にやりますか?」

「ほ、本当ですか!?」

「大会終わってからならいつでも大丈夫ですよ」 「ぜ、是非一緒にやらせてください!」


あのSKさんと一緒にやれる日が来るとは思わなかった。配信者してて良かった……!ありがとう過去の俺。配信始めてくれて。


「はーい僕の勝ち^^;」

「言い方ウッザ!今度はアタシが勝つから!」 「頑張れ〜」


1度目のタイマンは水無瀬さんが勝った。負けた星乃さんはめちゃくちゃ煽られていた。その煽りに乗ってるのも星乃さんらしい気もするが。終わってからすぐにもう一度タイマンが始まった。今度も変わらず水無瀬さんと星乃さんのタイマンだ。


「ちょっとエイム練習してくる……」

「そだねー?もっとした方が良いね〜」

「自分がエイム良いからって調子乗ってんね」


2回目は普通に星乃さんがボロ負けした。結果、星乃さんはエイム練習に向かう事になっていた。まぁエイム練習は大切だからね。


「カイさーん!もっかいやろ〜」

「わ、分かりました」


5回タイマンし、4勝1敗だった。まずまずな成績かな?できれば全部勝ちたかったけど。


「あ、そろそろ時間だね!ロビー戻るよ〜」 「は〜い」


ちゃんとアップできたから勝てると思うけどなぁ。そんなに甘くないかな。みんな強いだろうし。


「先に言っときますね」

「なんですか〜?」

SuRarスラーさんはマジでヤバいですよ」 「『魔王』さんね。会ったら死を覚悟するよ」

「動画でしか見たことないけど動きが凄い速いよね」

「1回だけ一緒にやった事あるけど凄かったよ。全然ついて行けないもん」


SuRarさんはRaising所属のプロゲーマーだ。abcx部門に所属しているから多くの知識を持っているし、エイムもキャラコンも規格外。ランクはもちろんエンペラーで世界一位も取った事もあるそうだ。しかもどのゲームでも上手いのでセンスがありまくるんだろうな。


「彼への対策はどうしましょうかね…」

「どんなムーブするか分かんないもんなぁ」

SuRarさんはどんなムーブでも完璧にこなしてくるだろうし対策なんて出来っこない。


「他の人も警戒しないといけないんでやることは多いですよ」


SuRarさん以外にもlaughさんやspearさん。aliaさんもいる。


「あおいちゃんとかあいかちゃんも出場してるし、この大会は凄く楽しくなるよ!」

「メンバーは豪華にも程があるよね。声優さんとかも出てるし」

「それだけ注目度もあるって事だね!」


それに加えてあおいさんや綾川さんも出場しているし、俺は知らなかったけれど声優さんも参加してくれているらしい。どんだけお金を使ってるんだろう…。あ、サトウさんも出てるらしいです。


「あっ、始まるよ!」

「頑張ろ〜」

「が、頑張りましょう!」


さぁ、スクリムの一試合目が始まる。


「配信も始めまーす」

「アタシもー始めまーす」


普通に忘れてた。これ配信するんだった。


「ここ、降りますよ」

「おっけ〜」


俺が選んだ場所は見た限り人が来ていない少し小さな集落。ここだけじゃ足りないので周りも漁っていかないといけないな。ちなみにキャラは俺がハンブラーで水無瀬さんがレイサー。星乃さんはバリーサを使っている。


「安地内だ〜」

「じ、じゃあゆっくりで」

「分かった〜」


敵はいなかったのと安地内な事も相まってゆっくりと漁れそうだ。


「うぁぁ〜SuRarさん暴れてるなぁ」


キルログを見てると既に3キルして1部隊を壊滅させていた。 初動といえどこの早さで倒すのは流石というべきか。


「あっ、サトウさん倒された」

「laughさんかぁそりゃ強いな」


laughさんがサトウさんを倒してそこそこの街を手に入れていた。その後も2部隊程が壊滅していた。一試合目だからかランドマーク争いが激しいな。


「黒アーマーあるよイツキ」

「ありがと〜」

「あげるなんて言ってなーいよーだ!」

「はっはっ!後で殴るね」

「嘘だって!あげるから!」


俺はキャラの性能的後ろに居ると思いますので黒アーマーを見つけたらもちろんお譲りいたします。2人が使ってるキャラ特にレイサーは前に行くことが多いからアーマーのレベルは高ければ高い程良いですね。まぁ、アーマーはダメージ与えれば成長してくんですけど。戦わなくてもレベルが高いアーマーがあればラッキーだよね。


「そこも漁れそうですね」

「おっ、ラッキー!」


思ったより周りに誰も降りてないな。漁れる範囲が結構広い。ここまで漁れたら物資は十分だな。


「ここに装置あったらな〜」

「そこら辺は運だね」


安全地帯調査装置は特定のキャラが使う事ができる装置で、次の安全地帯の場所が分かる優れものだ。マップにランダムで設置されるので確定で使えるわけではないけれど使えたら大きなアドバンテージになる。


「痛っ!!」

「け、検知します」


漁り終わり近くのランドマークに移動してるとスナイパーライフルで撃たれた。120メートルぐらいの範囲の検知に入らない…?そんなに遠くから撃ってきてるのか。


「こ、こっち行きましょう」


あの距離ならすぐに射線は切れる。このままスルーしていく方が得策だろう。戦ったら回復アイテムも一気に減るし。


「ヘッショじゃなくて良かった〜」

「誰が撃ってきたんだろ」

「ん〜みんなエイム良いから分からん!」


この大会に参加してる人はみんなエイム良い。だからスナイパーなんてバンバン当ててくる可能性がある。気を抜いたら頭をブチ抜かれるんだぜ?怖すぎんだろ。いや、特殊な武器を除いて赤アーマーなら一発で倒されないから大丈夫か…?


「また安地内だ〜」

「ここ、一旦待機で」

「はーい」


とりあえず安地内の建物は取れている。けど、まだどっち側に寄るかわからないな…。できればもっと安地の中心の建物を取りたいが。


「…如月さん」

「は、はい!どうしました?」

「ここ大丈夫なんですか?」

「い、いやあんまり…」

「だったら…この場所良くないですか?」


星乃さんがピンを指したのは安地中心の少し横。小さな小屋が数件集まってる所。ここから行くと結構な危険を伴うだろう場所。しかし、取れたらとても有利になりそうな場所。…ここを見落とすなよ、俺。とても良いポジションじゃないか。


「そ、そこ行きましょう!」

「提案して良かったー」


普通に提案してくれて助かった。もしかして星乃さんはめっちゃ判断力とかあるんじゃないか?これもクソゲーの賜物だな。


「1部隊いますね」

「だよね~」


検知を放つと案の定敵はいた。1部隊だけしかいないのならすぐに倒してポジションを奪えば良い。……漁夫に警戒だな。


「俺のウルト撃つんで、レイサーもお願いします」

「うん!」


ハンブラーのウルトで相手がスキルを使えなくなった所をレイサーのウルトで強引に突破する。後はエイムで解決だ。


「1人やった!回復するね!」


水無瀬さんがスモークを使い突っ込み、位置を把握していたジャンキラーを倒す。しかし、だいぶ体力を削られてしまっていたので一度引き、体力を回復している。その間に俺と星乃さんは残りの敵と戦う。


「後、1人です」

「ごめん!やられた!激ロー!」

「…やりました」

「ナイス〜!」


俺は楽に勝てたが星乃さんはギリギリで負けてしまった。が、十分に体力を減らしてくれていたのですぐに倒す事ができた。これでキルポイントは3だ。


「よーしこれで良いポジション取れたね〜」 「そうですね。安地もこっち側によりましたし」


戦っている間に次の安全地帯が決まっていた。ちゃんと安地内なので移動する必要はない。……多分このままで大丈夫だな。いや、ちょっと広くポジション取っとくか。


「水無瀬さん」

「ん?どした〜?」

「右側の小屋までエリア広げれます?」

「おっけー」


今いる場所だけでは心許ないので水無瀬さんに少しだけ広くエリアを取ってもらう事にした。レイサーならスモークで隠れられるし、撃たれたら足も早くなるので倒されはしないと思う。


「左側見ときまーすよっと」

「分かりました」


水無瀬さんは右側の集落。星乃さん左側の湖の方を見て、俺は後ろの採掘場を見る。これでどこから敵が来てもすぐに報告が出来るはずだ。俺は検知もできるしね。


──第3収縮が始まった。これまでに結構な人数が減り、8部隊となっていた。思ったよりは減っていた。初戦だからみんな動きが固まっていないのかもしれない。


「1部隊、湖の所にある家に入ってった」

「そこで戦いそうじゃない?」

「漁夫はしません」

「分かったよ〜」


多分あの部隊は戦うと思うけど、俺たちは戦いに行かなくても良いと思う。キルポイントも大事だが順位ポイントを取れなくては意味がない。今はあまり戦わずに慎重に動こう。


「まーたスナイパー撃たれたって〜」

「あんまり顔出せないかもね…」


頭に当てられたら回復してる間に詰められる可能性が高くなるのでバンバン頭を出して索敵は難しくなった。


「…検知入りました。来るかもです」

「準備はできてるよ〜」

「じゃあ、よろしくです」

「おっけー!」


定期的に放つ検知スキルに敵が映った。警戒はしていたはずだが結構近くに入り込まれていた。…スナイパーに見られてる時に入られたのかもな。…っと、相手も検知スキル撃ってきたな。あまり戦わずにと言ったが、俺たちが取ってるポジションを奪われそうなら戦わないといけない。せっかく手に入れた場所を簡単に失くすのは良くない。


「…ッ!まっずいな!これ!」

「これが解除されるまで耐えましょう…!」

「前抑える!」


先に相手がハンブラーウルトを撃ってきたので一時的にスキルとウルトが使えなくなる。だが、ここを耐えきればなんとかなるかもしれない。



「そろそろ代われる?」

「代われるよ!」


一気に相手部隊は入ってきたが戦っている相手がレイサーだからか迂闊に近づいては来ない。そりゃ狭い場所でのレイサーのウルトは脅威だからな。…流石に3人を抑え続けれない。水無瀬さんが回復してる間は星乃さんが代わっているが、レイサーからバリーサになった瞬間相手は攻撃を強めた。


「スモーク撃つよ!」

「ごめん!アタシが激ロー!」


相手のハンブラーウルトが切れて、スキルとウルトが使えるようになり、狭い部屋の中で3対3の戦いが激化する。スモークでどこにいるか分からないようにしてくれたが、その前に星乃さんがシールドを割られ体力も削られる。…このままじゃあ押し切られるな。けど…


「ウルト吐きます!」


相手のウルトに抑えられていたので、撃てないまま終わるかもしれなかったがこれでようやく撃てる。


「あぁ〜!1人マジでロー!」


回復を終えていた星乃さんがダメージを与える。相手は今、スキルもウルトも使えないのでここで決め切る。


「やれたよ!」

「ナイス、イツキ!」


ギリギリで星乃さんが倒せなかった敵を水無瀬さんがスモークを直撃させ倒す事に成功する。そういえばスモークって直撃したら10ダメージ喰らうんだったな。


「後、1人です!」

「おけ!」


焦って出てきた敵を難なく倒して、後はレイサーのみ。…そろそろハンブラーウルトの効果も切れるな。相手はハンブラー以外はウルトを撃ってなかった。もし死に際にレイサーウルト撃たれたら最悪の場合全員死ぬ。最後の1人だからって油断は出来ない。


「やーれたよっと!」

「ナーイス!」

「ナイスです」


水無瀬さんが外に逃げる相手を追いかけ、途中で相手ウルトの爆風を喰らいながらも倒して1部隊を壊滅させる。これでキルポイントは6だ。序盤でここまでなら大分良いと思う。多分最初はキルポイントの制限もあるだろうから、キルを狙いに行き過ぎるのも良くない。リスクが増えるだけだ。


「…え?やっば!」

「ッ…!隠れましょう!」


水無瀬さんがデスボを漁っている最中にスナイパーを撃たれ、頭に当たる。幸いにもヘルメットのレベルは高かったのでアーマーが割られるぐらいであった。  


「嘘じゃん!スモーク抜きしてきたって!」


スモークを使って射線を切り、安全に帰れると思っていたらスモークの中にいるのに銃弾を当ててきた。それによってアーマーがなく体力のみの状態の水無瀬さんはダウンしてしまう。


「這いつくばってここまで帰ってこーい!」 「うーん、多分無理!」


なんとか這いつくばって小屋の中まで帰ってこようとしたが ダウンしている状態での移動は通常よりもかなり遅いから流石に帰ってはこれなかった。レイサーは確殺されデスボになった。


「ほんとにごめーん!」

「しょうがないよ。うん。しょうがないしょうがない」

「なんか馬鹿にしてる?」

「そんなことないよー」

「だよね~?」


さて、どうしようか。後5部隊で既に第4収縮も始まっている。俺達がいまいる所はギリギリで安地内だが次の収縮では入ってないだろう。


「とてもローです。アタシが」

「はい、回復してください」

「はーい」


少し外に出ただけでスナイパーを撃たれボコボコにされる。なんかずっとスナイパー部隊がいるな。中々キツイ。


「なんとか前に出たいんですけどね」

「そうだね〜……そこの岩まで気合で行きます?」

「そうですね…それしかないかもです」


相手が外す事を願って気合で遮蔽となる岩まで走り抜けるしかない。


「じゃ、行きますよ」

「分かった!」


第5収縮が始まった瞬間、岩まで走り出す。距離は50メートル程だろうがその間に遮蔽が何もないのが終わってる。だが、走るしかない。


「…無理だぁ!」

「クッソ……!」


岩までなんとか走り抜けるが、俺はアーマーを割られ、星乃さんは途中でダウンしてしまった。流石に星乃さんは助けにいけない。これからは俺一人だけで戦わなくてはならない。


「後は頑張って〜」


第5収縮が終わる頃には3部隊となり、最終収縮が始まるまで残り一分。人数は1部隊がフルで残ってる。もう1部隊はフルではないかもしれないが分からない。


「カイさん!右いる!」

「…分かりました!」


こちらに近づいてきているらしく、2つの足音が聞こえてくる。遮蔽があまりないからここを取りにきたのだろう。ウルトはなんとか溜まっているので耐える事ができると思うが…


「いや、無理か…」

「ナイストライ!」


ウルトを放ち相手はスキル等が使えなくなるが、エイムでゴリ押され敗北してしまった。一人のアーマーを割っただけでそれ以外は何もできなかった。


「1位は…laughさんの所だね」

「そういえばそのチームにあおい居たよね」 「いるね〜このチーム強いな」

「laughさんとspearさんが同じチームなの強すぎかも」

「その二人はまぁ、ペアみたいなもんだし…」


二人共エンペラーだからバカみたいに強いんだよな〜。彼らは過去の栄光だーって言ってるけど今でも十分強い。


「SKさん…僕たちの駄目だった所教えてくれますか?」

「そうですね…」


一試合目が終わり、ニ試合目を待っている間に水無瀬さんが今の試合で駄目だった所を聞く。


「みなさん動きは良いんですよ。けど細かい所が甘いかもですね」

「た、例えばどのような所ですか?」

「例えばスモークの使い方とかデスボの漁り方とかですね」

「なるほど…」


多分他にもあるだろうが特に甘いのはそこなのだろう。次からはちゃんとしなくてはな。


「2試合目始まるよー」

「よーし、頑張るぞ」

「次は1位取るぞ〜」  


2試合目が始まり、今さっきと同じ所に降りる。


「なんか1部隊来てるんだけど!」

「なんで〜!今さっきいなかったじゃん」


何故か1部隊被ってしまった。これ、初動ファイトです。

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