第七十三話 最強の一矢
――騎士団本部最上階。
堂長ヨスガは1人、玉座に寝転がっていた。
(あの刀……)
ヨスガが思い浮かべるは神竜刀ヒグラシ。
(あれも神竜と、リゼラと同じ空気を纏っておったな……)
神竜刀――
ダンザと同じく、神竜を吸収し、進化した刀。
「それにしては性能はいまいち。リゼラが生み出したのならば、あの程度で終わるはずがない」
あれはまだ発展途上だ。とヨスガは確信する。
(ワシの勘違いでなければ、あの刀からは
ヨスガは旧友の顔を頭に浮かべ、微笑む。
「まったく、おぬしは常にワシの想像の上をゆくな……」
---
突如
形態変化?
なんで急に新しい効果が……いや、考えるのは後だ。
「ウィルス掃除ぃいいいいいっ!!!」
あの雑巾に当たると俺の防御力でもどうなるかわからない。
今の
ゴン!!!!
「しまっっった……!!」
相手をただの知の無い獣として見ていた。ゆえに文字通り足元を掬われた。
迷宮の掃除・修復を担当する存在。まったくの無能であるはずがなかった。
地割れに呑まれ、空中に投げ出される俺。
俺は咄嗟に
(
――“
俺は下に顔を向け、口から炎のブレスを吐き上に飛ぶ。それから更に二度、ブレスを吐いて空中を移動し、
ほぼ一瞬で俺は移動した。同じジェット噴射でも出力がまるで違うということだ。
「!?」
「さすがに驚いたか?」
俺はフードを脱ぎ、元のリザードマンになる。
この距離、約50メートル……一般的な弓の射程内だ。
どうせ俺の手札に有効打はない。ならば、この新しい能力に頼ろう。
「形態変化!」
俺が叫ぶと、神竜刀が黄金の弓に、鞘が黄金の矢に変わる。
弾数は一発限りってことか。俺は空中で弓矢を構える。
「……一通り武術は習っていたからな。要領はわかる」
人間時代と違い、矢を放ってもブレない体幹、風を読み切る眼がある。
空中という不安定極まりない場所ではあるが、今のこの体ならば完璧な射撃ができるはず。
「神竜弓……頼むぞ!!」
俺は弦を引き、手を放して矢を放つ。
「うおっ!?」
矢を撃った瞬間、大気が弾け雷鳴の如き轟音が鳴り響いた。射撃の際の反動は予想以上だったが、なんとか堪えることはできた。
放たれた矢は黄金の闘気、神竜のような形をした闘気を纏い、
「グオオオオオオッ!!!!」
まるで竜の雄たけびのような轟音を上げ、矢は
ただ撃ち抜くだけじゃない。矢の当たった相手を喰らいつくし、無に帰す。これが神竜の矢の力……確殺の一撃!!
対象を喰らいつくした矢は空へと舞い上がり消失する。気づくと弓は刀に戻り、鞘が空から降ってきた。
俺は鞘をキャッチし、刀を収める。
「なんてパワーだ……!!」
俺の防御力でも防ぎきれないであろう威力。あの
「!?」
ゴゴゴゴゴゴゴ!!! とこの部屋、いや、恐らくは迷宮全体が揺れ出した。
「嫌な予感……!」
地面が、空が、この空間が壊れていく――
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渾身の一作『 間違いなくVtuber四天王は俺の高校にいる!』もよろしくお願いします。ガチ面白いので、ぜひ読んでください。そして思いっきり書籍化狙っているので、リアクションを何卒よろしくお願いします。
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神竜に丸呑みされたオッサン、生きるために竜肉食べてたらリザードマンになってた 空松蓮司 @karakarakara
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