謎の老人に導かれ「桃太郎」の伝説が残る場所を巡る作品です。現代まで遺された史跡とそれにまつわる伝承が、現実と幻想を織り交ぜて絶妙なバランスで語られる様に、すっかり引き込まれてしまいました。まるで、一編のミステリー作品を読み解いているかのような気分で、一気に読み終えました。昔話の代表作といっても過言ではない「桃太郎」。有名なお話ですが、その舞台裏にある史跡を知らない方は多いはず。さぁ。昔話の舞台裏は、こちらですよ。
知る人ぞ知る伝説を、丁寧に、しずかに、じっとりと語ってくれるこの声は、ぜひとも読む通す価値があります。唸る風もまた、なにかを語り掛けているのかも知れませんよ……。
知らなかった。広く遍く誰もが聞いたことのある、あのお伽話。そこには隠された伝説があるというのです。その物語の深奥をより分かりやすく、そして幅広い世代の方々へ受け入れられるよう、内容構成・質・量ともに傾注された作者様の気質あふれる愛情。歴史に苦手意識を持つ方でも読みやすい、微に入り細を穿つ文体が素晴らしい。 作者様の歴史に対する深淵なる造詣と、啓蒙的かつ献身的な思い馳せる熱き情感。これらが見事に調和し、精緻な至りとして織り成される、淀みなく流れるような語りから感じ取ることができる秀作です。
学びがあります。そして遥かな時を超え、今なお宮内庁に守られる御陵。歴史の光と闇を感じる、色褪せる事なきミステリー!