絶対的自信がない僕

学生作家志望

いくつかの天才

漫画には、よくいるんだよ。なんでもできる奴。完璧人間、化け物が。


誰もが一度はそういうやつを見て思うはず。こいつみたいになりてえ!って。

多分それは憧れであって、自分のなりたいものの完成系だと思うんだ。


僕の学校にも1人だけいた。そういう、なんでもできるやつが。

初めてのことをまるで経験者のように完璧にこなす姿は、まさに僕の理想そのものだった。


それは、かっこよさ故の理想ではなく天才になりたいという思い故の理想。


僕はあの子と違って何もできない。テストの点数なんて余裕で10点とか5点とか0点だし、運動だって友達に勝ったことなんてない。


僕はいくつもの天才になりたい。天才になって誰かの憧れに1秒でもなりたい!


そんないくつもの天才に、僕はずっと憧れて、憧れて───────


あの子になくて、僕にあるもの、そんな答えはノー勉のテストを解くよりむずい。


あの子はきっと、絶対!僕より上手い文を書ける。

あの子はきっと、絶対!僕より運動が得意。

あの子はきっと、絶対!僕より勉強が得意。


あの子は…。


なんで僕はあの子には絶対を言えるのに、僕に絶対は言えないんだろう。


僕はいくつもの天才になってみたい。


なったとき、僕は初めて誰かに絶対を言われるようになるかもしれない。

そして、自分で絶対を言うかもしれない。

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