三分間を引き延ばせ
秋津幻
走れM氏
落単の危機にあるM氏には三分以内にやらなければならないことがあった。
12:57分の事である。
13時提出のレポートを白紙の状態から仕上げる事、昼ご飯を食べる事、ソシャゲのデイリーをやる事、昼寝をすること、やる事は枚挙にいとまがなくそのどれにも優先度をつけることはできない。悶々と悩んでいるうちにこの始末。
落ち着かない心を慰めるためにバズりツイート(今はポストというらしい)に沸くインプレゾンビにクソリプ(クソポスと言えばいいのか)をつけながら、「誰か助けてくれ」と天井に叫んだところ現れたのは大〇洋似の悪魔。
「おいきみぃ願い事言わねえか、かなえてやろうって言ってんだ」とのたまう悪魔にM氏は「3分間を無限に引き延ばしてくれ」と頼む。
悪魔が白煙と共に消えたその瞬間、時計は動かなくなり落とした鉛筆は空中で止まる。時間が止まったのだ。
安心して布団に包まり昼寝をむさぼると、いつまでたっても眠くならないどころが体は凍え身は震え始めるばかり。
そうこれは時間停止の影響で分子運動までが止まった結果。あっという間に温度は氷点下まで真っ逆さま。
寒い寒いと厚着をしても状況は変わらず、こりゃたまらんと体を動かし外へ躍り出るとそこはゴッサム(極寒の地)。
「ええい、悪魔でも神でも俺を助けてくれ」と叫んだその時、現れたのは一人の少女。
「おおあなたが神か」
「いいえ、この世界には神はいません。因果応報を求め世に答え悪人は須く主人公に俺ツエーされるという絶対的な定めが出来た今、神は倒されるべき悪と化しました。そんな世界を救世すべく私は救世主レッド☆スター様の元戦っているのです。どうです、貴方も共に世界を救いませんか?」
「いえ神は信じないことにしてるので」
「そうですか、それは残念」
そう言って彼女は銃を突きつける。
「ところで世界の時間を止めた犯人を探しているのですが、知りませんか?」
冷や汗が凍り付く。
M氏の寿命まで後3分。
三分間を引き延ばせ 秋津幻 @sorudo
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