呪い、妖怪、伝承。異人が見る、人間の本性は

「あなた、このまま行くと死にますよ」
 日暮《ひぐれ》件《けん》。
 妖怪・件《くだん》の特性を持つ彼は、人の死を予知することができる。 
 人の死が予言できても、運命は変わらない。誰にも信じてもらえない。けれど、人が死ぬところを見たくない。

「罪人を君は人間《ひと》と呼べるのかい」

 そんな彼が出会ったのは、探偵を名乗る西園寺君明――美しい鬼だった。

「僕は人間の罪を明かす。罪があればそれがいつか追いかけてくる。そうして返ってくるんだ。どこにいようと関係なく、ね」

かくして、西園寺の助手となった日暮は、様々な事件に巻き込まれることになる。

「まったく、人間とはどうしようもない弱い生き物だよ」
「でも、そういう弱者にだって虐げられていい理由はないんですよ」

正反対の二人が挑む、事件と人間の本性は。