第15話
「この世界の人類はどうやら未だに火星のテラフォーミングを終えていないみたいなの、つまりこの世界には火星街が無い。それが分かったのは私が午後三時に丁度私たちの生活に関わってきそうなこの国の法律を調べ終わった後なんだけど、私海外の法律には詳しくなかったから、もう調べる事なくなったかなーって途方に暮れていたんだけど、そういえば私たちが火星旅行に行く前のカリキュラムで
少しだけ火星街の法律を暗記させられたじゃない?そこで私は火星の法律について調べようとしたんだけど、全くそれに関する資料が無かったんだ。これについては今日あたりには宇宙について調べていた初絵ちゃんは何か補足情報あるんじゃない?」
「うん?ああ、そっか法律か、そこからも分かるのね。ただごめんね雪ちゃん。なんかね火星街が無い以前に火星に関する資料が少ないんだよね。それにそもそも火星探査や有人の火星着陸の実験の記録も一切ないし、ただ宇宙航空技術関連の資料と民間で開発された宇宙船について調べると、もうすでにこの世界の技術では火星探査と有人着陸までは問題なくできているはずなんだけど。正直テラフォーミングに関しても着陸までできれば、芋づる式で簡単に終えているはずなんだけど。つまりね、この継ぎ接ぎな情報の真相は二つの可能性が考えられるんだけど、一つは技術的には可能なレベルに到達したが世界的な何か大規模のトラブル、自然災害、政治的問題、経済的な問題が起きて資金と資源の調達が不可能になって破綻した可能性。もう一つは、何かしらの不都合が起きて火星探査と有人着陸を公表しなかった可能性。どちらにせよこれ以上は何かしら大胆に行動する以外に確かめるすべがないから行き止まりなんだけど」
「あ、そういえば僕の話そうとしてたこともそれに関することなんだけど、去年にかけて三回ほど火星に向けて出発した宇宙船が謎の失踪をした事件会ったじゃん?あれこっちの世界だと報道されて無さそうだったよ、というか今の田中さんと初絵ちゃんの話が本当ならそもそも行方不明になって無さそうだけど」
二人の話を聞いた感じだとこの世界は宇宙に関係する内容でやはり僕たちの居た世界と明確な違いがあるようで、そのきっかけになった原因もきっと必ずあるのだろう。
「ああ、そっか三人の話から俺は確信が出来たけど、俺は都市伝説関係の話を集めていたけど。今回の調査では如何せんあらゆるオカルト誌や書籍を手に取ったから、玉石混合、なんか陰謀論じみた内容まで沢山あったんだが、そもそも都市伝説というのは陰謀論とオカルトなど細部を考えればいくつかのジャンルに分けることが出来るのだが、今回は俺の全く興味のないジャンルの陰謀論にヒントが隠されていたんだ。そう!本件はいうなれば令和のロズウェル事件であると!」
そういえば忘れていたが二山も何か調べることが出来たようだった。もともと二山は都市伝説やオカルトを披露するときにやたらとストーリー仕立てで聞き手感情を煽るような話し方をするが、それにしてもいつも以上にもったいぶった語り口である。それにしても令和のロズウェル事件って文言で既に胡散臭さが凄い出ている。
「さっきの話だが、もしかしたら人類は火星に既に一度探査に成功していて、その際に火星人と接触している可能性があるんだ。この噂の発端は二十年ほど前のとあるネットの掲示板でのことだった。突然その掲示板上に自らを火星人と名乗る人間の書き込みがあった。」
「なにそれ?明らかに怪しいじゃない」
「おいおい、田中さんちょっと待ってくれ、ここからが重要なんだ。当然古くは平成初期から良くある’’ネタ’’で定期的にインターネットではそういう自称オカルト人間の提供するネタを使ってお祭り騒ぎをする風習があるのだが、まあ、オチから話すとこの自称火星人も最終的には散々遊ばれてネタとして昇華されてしまったけど、そいつが自分を火星人と証明する手段として提示した情報の中に明らかに俺たちの世界に関する話が合ったんだ。」
『えっ!?」
二山の熱のこもった話し方にどんどん深みにはまるように僕たちはいつしか茶化したような雰囲気ではなくなっていて部屋の中には異様な空気が漂っていた。誰かの生唾を飲み込む音が聞こえる。緊張により誰かが水をしきりに飲んでいる。二山はどこか覚悟を決めた表情になり話を続けた。
「そいつの話だと火星人たちは元からこの世界に居たわけではなく、この世界によく似た惑星群のに居たらしい、約一千年前の話らしいが、その火星人達の文明は当時、太陽系内の宇宙航空技術を確立していて、月に基地を建てるなど積極的に宇宙の研究に注力していたらしい、ちなみにこの時、地球人との交流なども密かに行っていたらしいが、それは置いといて、そいつらが色んな惑星を忙しなく飛び回っている時、ある時から火星近郊の宇宙空間で火星人の原因不明の失踪が多発したらしい。その火星人はその謎の失踪事件被害者の一人で、謎の空間に飲み込まれた後に目を覚ましたら火星の地表に居たらしい。」
「え!?それってつまりその自称火星人は俺たちと同じように別の太陽系からここに来ていたってこと?」
雪ちゃんが普段滅多に見せないほど驚いた表情で話を一度中断し一息を置いた二山に問い詰めた。
「ああ、恐らくここまで俺たちとの状況との符合しているのは偶然や創作ではあり得ないだろ?それでそいつの話す内容はそこから本題に入るその本題は地球人に対する警告のようなものをだった。簡単に言うと地球人は宇宙空間の航空技術をこれから確立するとしたら、まず火星には近づくなという内容、それから謎の空間における失踪はこちらの世界でも起きているため注意すべき宇宙領域の告知をだった。当然、それらの掲示板上での発言は誰も本気にしなかった。しかし、今回の田中さんの報告からも分かる通り、明らかにこの世界の宇宙分野においてはその火星人の助言を基にした行動がみられる。つまり、政府やこの世界の上澄みの人達は火星人と何らかの方法で接触している可能性があるだろう。」
二山はそう話を締めくくると皆の顔を一人一人見回して、最後にこう言った。
「なあ、俺たちで火星人探さねえか?」
ドッペル大転移 鳥木野 望 @torikino
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