ムガノキョウチ

@hadman

ムガノキョウチ

北に死にそうな人がいた

から、水をあげて撫でてあげた。

その人は猫みたいに擦り寄ってきて僕の腕をつかんで離そうとしなかった。僕は怖かったのでその人の腕を振り払った。そしたらその人は細長い断末魔と共にぶっ倒れ、二度と動かなかった。


『愛とは、

ヒトを形成するためのほんの一部に過ぎないが、

少しのことでバッキバキに壊れてしまうという性質があり、

それはこれからの人類にとっての重大な問題点であり、

それを僕たちは何が問題なのかを考えていく必要がある。』


地の底で暮らしている罪人たちだっていつかの季節には愛したヒトがいて、そのヒトをどんな手を使ってでも守りたいと思うんだろう、

大事な人が死んだら悲しいし、自分が死んだら大事なヒトは悲しんでしまうかもしれない、

そんな悪循環を絶たせるために僕等はいます。


ファンタジーの世界に生きているような…そう、たとえば魔法が使えて空が飛べたり、何にもないところから水のような物体を出したりね、

僕等は救いを差し上げるために活動しています。なんの偽善なんかもありゃしませんよ?

はい。


ありがとう 

と、言われたことを覚えています。あれは確か僕がまだここに入りたての頃、慣れてきた任務をこなす中で初めて、大きな仕事を任された時でした。おぼつかない手捌きでいつものように仕事をこなしていました。


その日は女性の、お客サマでした。ご用件を聞いてみると、その方は彼氏と最近うまくいっておられないと、昔のようにただ抱きしめあったりキスをしたりして愛を確かめるようなことをしなくなってしまったと言うことでした。

何とも悲しいことなんだろうと僕は思いました、小鳥のように小さなさえずりを響かせ僕に話してくれた彼女の目はどこか執念に満ちていたようにも感じます。その後も彼女さんは僕にたくさん話をしてくれて、いつの間にか夜も更けたのです。、、、、



次の日、僕は彼女さんと共に彼氏さんに会いに行きました。彼氏さんの部屋はゴミ屋敷、、と言うほどでもありませんでしたが一眼見ただけで汚いと思うような変なお部屋でした。


彼女さんは言います。


私、この人と付き合うことにしたから


はぁ???


意味分かんねぇよ!どう言うことか説明しろよお前!


僕の襟を掴んで叫ばれました、意味がわからなかったです。僕は彼氏さんの言うことを理解するつもりではいたのですが、少し分かりずらかったので無視することにしました。


そして、彼女さんの腕をつかんでこう言いました。


殺しマスヨ


は?


彼女さんの意味をわかっていなさそうな顔を見ると少々心が痛んだのですが僕にはこうするしかなかったかのように思いました。


一瞬で顔が吹き飛んで辺りは血の泉ができました。彼氏さんは腰を抜かしてタオレテイマシタ。


彼女さんは痛みに耐えるような顔で死んでいたので、可哀想だったのでエガオニ直してあげました。


笑う顔の方が人々はみんなエガオニなれます


そして彼氏さんに顔を差し上げ、お辞儀をして現場を去りました。初めての大きい仕事だったのですが、あまりにも良くできていたノデ、僕はたちまちその部署で表彰されました。


あなたはもっともっともっともっとヒトビトを救ってあげるのですよ、そしてヒトビトの幸せを笑顔を絶やさずに生きるのです。


はい。



盛大な拍手の音が耳障りでしたが僕は嬉しくなって帰りました。


火星の色が赤くなっています。そろそろ食べごろなんだと思いました。手を差し出すとかセイくんは大地の土を食べさせてくれました。すごく美味しくて僕は食欲が抑えきれずに全て食べてしまいました。


そう、

沢山の人を救ってきました。



その日は雨の予報があったので一応折り畳み傘を携帯して仕事に向かいました

犬が吠えているのが聞こえてその方向に道を変えながら仕事に向かっていると当然そこには捨てられていたんですね、いぬが

僕はその犬が入っていた箱の匂いを嗅ぎました。畳の匂いがして、蝉の鳴き声も聞こえました。そんな絶景が見えて感動したのでその犬を引き取ることにしたのです、犬に名前をつけてポスターを作って飼い主を探しています。

この犬を捨てたのは誰ですか?

この犬の命を無駄にするのは犬への不敬罪に値するので警察を呼びますよいぬがどうなってもいいんでしょうか?????


犬は鳴く鳴く犬はいつもなくなく泣いています


飼い主のことだって覚えていないだろうと、そう思い込むしかありませんでした。


ですがそんなある日、飼い主が現れたのです。こんな奇跡があるんだと、僕はいつもよりもとても大きく感動をしました。

犬は泣きます鳴く犬に飼い主さんもつられて泣きます、僕はその飼い主をコロシマス




毒殺をしたことはありますか?毒殺をすれば姿形何も変わらずにこの世を離れることができます。僕にとっての手向けを受け取ってくれた飼い主と犬に感謝して手紙と段ボールと犬を添えて道に落としました。


犬にとってこれとない愛情が優しく包んでくれることでしょう。、



あだらかタブラ

カキネヲコエタその先は

積まれ積まれて道狭め

落ち行く最後に惨たえる


哲学の話になりますが、私は哲学が嫌いです。


何故ヒトは愛を欲しがるのか、

何故ヒトは生きるのか、

そんなことを考えている暇があったら何か仕事でもしろと、

そんなふうに思っています




カキネヲコエタウラミツラミヲ

その先にそのもっと先に

彼方此方の輪廻転生を

この身に受けましょう



僕が個人的に好きなのはドーナッツでっす

あれは本当に美味しいですよね。

ですが真ん中に穴が空いていないドーナッツは果たしてドーナッツと言えるのか?

これは本当に難しい問題ですよね、、、


哲学って何でしたっけ?


まあいいんですけど聞いてください。

このドーナッツの穴には何が見えるでしょうか、

ヒトの器?考え?裁量?


ナーンにも見えません。

だからドーナッツの穴があるかないかなんてそんなこと疑問を持つことはないんですよ

美味しいければ何だっていい、穴がなくたってドーナッツはドーナッツなんだって信じて痛いでしょう


痛みに苦しんでドーナッツは穴を開けていることでしょうからね



また仕事が入ってきたかと思えば同僚の田中さんがまた仕事を奪っていかれました。

もう何回もあることなんです、本当に賢い限りですよ


けれど僕の収入はさして変わらないんですけどね

嘘をつかれるよりは裏切られる方が嫌です

裏切りって切られたら痛そうな感じしますよね、僕は切られたことあります



数多数多に涅槃の烙印を

押して回るは神の如し

ボクを創るに相対すれば

その印を押すは楽の如し



いつもいつも泣いている少年がいるんですよ、公園で

ボクはいつも疑問に思いながらそれを見ているんですけど、その子、何をされていると思います?

裸で踊りをされているんです

かわいそうに

かわいそう


カワイソウ


あああああああああああああああああああああああああ

あああああああ

ああああああ

ああああああああああ

あああ



認めたくない認めるわけにはいかないなぜ

なぜ

なぜなぜ

僕、僕が???


気持ちの悪いことを気持ち悪くなくするためには一回頭を打って考えてみたらいいんじゃないんでしょうか?



ゴツン。



ツー

ツー

ツー

ツー



頭で響き出すこの音に大変迷惑をかけられています。

沢山怖い思いをしたと言うのにイライラが止まらないのはコレはもうヒトになりつつあると言うことなのでしょうか???



あー憎たらしい憎い憎い憎い憎い憎い



目を覚ますと病院の天井を見ていました。

そこには涙を流す誰かの姿があるのです

その少女は僕にとって本当に大切なヒトだったことを記憶しております


真っ赤な火星を食べたあの日

僕の心の中で芽生えた憎悪と恐怖と心地悪さが頭を支配していたのです


彼女は僕に生きていてよかったと話しました。


ですが僕は、

話すことが、

できません、


話すことが

できないのです



難しい気持ちになります。僕にとっての彼女は愛していたヒトだったのでしょう。

ですが、彼女に愛してると言えない僕の口の重さに嫌気がさしてきたのです


僕は彼女の目を見ました

彼女は僕の目を見ました。


少しでも僕のことを、

愛しいと思って、

くれた、

ヒト、


ナミダは防波堤を破壊して洪水を起こします

瞼の上に溜まる涙の重さはこれ以上のない経験の重さでした。


僕の愛しいヒト、

火星を食べておかしくなった僕に

まだ愛しいと、

手を差し伸べて、

く、、れ、、る



彼女は僕の手を掴みました

口を動かして何かを伝えているようでしたが僕には聞こえませんでした。



そして、

僕よりも小さく、か弱い両腕で

僕を包み込みました。


暖かい、温もりは

昔と変わらない、感触でした


彼女は僕に肩を貸して、

歩き始めました。

たくさんの人たちのシがいを見て、僕は居た堪れなくなりました


かのじょにつれられた場所は病院の屋上、

天に一番近い場所に僕は彼女といます


彼女の気持ちが何となくわかりました

終わらせようと言う気持ちが


彼女の声は聞こえなくとも、震えているのがわかります


大丈夫、大丈夫と

言葉足らずですが、声に出すように、

発しました


彼女は笑ってくれました





月明かりに照らされながら、

僕はクラゲになる夢を見ました

広い海のどこかで、

雄大に、綺麗に、自由に、

生きる夢


勿論そこには彼女もいて、死んだ人たちも、

イます



幸せだと思っているはずです



きっと


きっとね














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