闇の中を歩く
ゆっくり
短編
私には、私が幼い頃から大人になった今の今まで、永く抱えている悩みがあるのです。私には友人も恋人もいます。友人は沢山いて、その中に取り分け仲の良い、いわば親友と呼べる人も居ります。恋人は優しく、格好も良く、真面目で、浮気もしないし、なんでもできる、いわば理想の彼氏と言われる様な人です。周りから羨ましがられる事も多いのでございます。だけれども、どこか漠然とした途方もない孤独を感じ続けているのです。それがとても大きな不安となって私を苛み苦しめるのです。
誰しも人と関わりを持つ機会はあります。その中で、お互いに「気が合う」と思った人と友人になったり、または何か別の、友人というハリボテが欲しかったから友人になる、ということも少なくありません。私にはそのつもりは一切なかったと当時は思っていたのですが、今よくよく考えてみると、実は全てが後者だったのだと思います。
私にとっての理想の恋人は、私がいないと生きていけないような人で、私をよく頼ってくれて、どこか浮気でもしそうな、油断できないような方なのだと思います。理想の友人は、何も言わずともお互いに意思疎通ができ、共通の趣味で永遠と思える程話ができて、少しも私を不安にさせず、傷つけもしない人です。ですが、私にはそのような人達を持ち合わせてはいません。もし、このような人達に囲まれたのなら、私のこの漠然とした途方もない孤独と、そこからなる大きな不安はきっと無くなるのです。どうすれば私に、そのような人達に囲まれて生きていけるのでしょうか。
きっと、そんな都合の良い事は余程ない。わかっております。自分からそのような方々を探し、仲良くなろうとしないといけない、努力しないといけないという事はわかっております。ただ、怖いのです。そのようなものは無いのではという闇と、どれだけ努力しても実らないという一抹の暗さが、私の努力する為の気力を消していくのです。
闇の中を歩く ゆっくり @yukkuri016
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