名探偵、胃袋の罠に挑む

ロンドンの外れ、ルイシャムの一角で瓶ソーダを愛する男がひとり――名探偵フィアー・フライ。
金にはがめつく、態度は尊大、だがその頭脳は間違いなく一流。そんな彼の元に持ち込まれたのは、

「料理を3皿食べるだけで、なぜか誰も完食できない」

という、奇妙な大食いチャレンジの謎だった。

舞台はクローリーの山頂にひっそりと佇むレストラン『トロンプ・ルイユ』。
そこはだまし絵と異様な色彩に彩られた、まるで万国博覧会のような美食の迷宮。
登場するのは、紫の魚フライ、青カビ模様のパイ、そして真紅と深青のカレー。

助手の少女ラズリーを伴い、フィアーは謎多きシェフ・ニコラスの前に座る。

「君の胃袋は、ベルが三度鳴る前に降参する」

挑発を笑い飛ばし、大食いに挑む名探偵の腹に、静かに異変が起こりはじめる。

奇妙な料理。錯覚する空間。そして「満腹」という名の見えざる罠。
胃袋の中に仕掛けられた謎を、名探偵はその舌と頭脳で暴けるのか?

だまし絵の館で繰り広げられる、美食×推理×心理戦の新感覚ミステリー。

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