魔王を倒した後に待っていたのは、平和な余生ではなく「徴税官」となった宿敵!
伝説の剣に固定資産税はかかりますか。
英雄ランクが下がれば免税されませんよ。
ファンタジーの皮を被ったあまりに生々しい税制の暴力が、救国の英雄をどん底まで追い詰める!
魔力よりもマイ◯ンバーカードが物を言う世界観のギャップが最高にシュール。
『合法的にむしり取られていく勇者』の姿は、魔王戦よりも手に汗握るスリルがあります。
社会の仕組みを知る大人ほど、笑いながら胃が痛くなること間違いなし。
世知辛い現代社会を生き抜くすべての人に捧げたい、新感覚の事後ファンタジーです。
読み終えた瞬間、確定申告がしたくなりました(幸いこれを書いてるのが二月なのでもうすぐです笑)。
これほど「税金」を面白いと思ったのは人生で初めてです。
まずは、物語序盤のある「手続きの放置」の扱いです。
主人公が自堕落に過ごしている導入を、私はすっかりコメディの助走として流していました。
それが中盤、ある人物の能力が発動する絶対条件として機能したとき、あの怠惰な日々の全てがトリックの土台だったことに気づきました。
主人公の「だらしなさ」すら伏線にしてしまう書き方は、とても上手だなと思います。
また、この作品の世界には「納税の義務は物理的戦闘力より上位に位置する」というルールがあり、作中それがブレることはありませんでした。
勇者であろうと魔王であろうと、このルールの前では等しく無力になる。 ここは読んでいて整合性が取れていてよかったです。
だからこそ、終盤の決戦で「法と税」そのものが最終兵器として炸裂する展開に、剣や魔法では得られない種類のカタルシスを覚えました。
キャラクターの感情が言葉ではなく動作で語られる場面も印象的でした。
裏切り者に対し、槍の穂先ではなく石突を選んだリーダーの判断について、あの「グルリと回す」動作だけで、怒りと赦しと友情が全て語られていたと私は読み取りました。
そして70年間、仮面の下で一言も発さなかったある人物の沈黙が、どんな台詞よりも雄弁に生き様を物語っていたことに、著者の力量を感じました。
最後に「税金とは即ち王の願いなのだから」という台詞に関して、この一文に、物語の全てが集約されていると思いました。
制度の中に込められた「願い」を描き切るという、唯一無二の着眼点で物語を書いてくださり、ありがとうございます。
勇者たちの次の「徴税」を楽しみにしています。
魔王討伐後の勇者一行の“その後”を描いたファンタジー。
……と書くと漫画やアニメで有名な作品を思い出しますが、この作品はもっと現実的で切実。
主人公・勇者デヴィドの困窮する姿に、身につまされながらも思わず笑ってしまう税金のお話がテーマとなっています。
魔王を倒すまではファンタジー、その後は自身の浪費癖も災いして生活に困窮するデヴィドのリアル。
これだけでちゃんちゃんとならないのが、このお話の面白い所。
元勇者パーティーたちの人間ドラマを交えながら、ストーリーはまたファンタジーへと舵を切り、最後はまたリアルへ。
ファンタジー世界に現実的な問題を持ち込みつつも、しっかりとファンタジーを描き切る、作者ならではの技巧を感じました。
物語構成も秀逸で、手出しのできない勇者たちをネチネチと責め立てる徴税者に、態勢を立て直して反撃していくという王道。
シビアな現実を突きつけながらもエンターテインメントとして成立しています。
社会風刺を交えたユーモアを愉しむことのできる、ちょっと大人のあなたにお勧めの作品です。
コミカルさとシリアスさが、絶妙なバランスで調和して描かれている作品です。
本当に、面白いですし、為になります。
魔王を倒した英雄ながら、税金を滞納してしまった勇者デビィド。その義務を怠った勇者の下に、とんでもない存在が徴税官としてやって来る。
ここだけ見ると、変則的な「ざまぁ物」なのかな? という印象でした。
しかし、この小説はそんな枠には収まらない傑出した作品です。
税金なるものの本質から、国家や為政者の姿勢やそのあり方。そんな物が上手く分かりやすく語られます。しかも、堅苦しくはなく。
最初に書いた通り、コミカルとシリアスのバランスが絶妙なのです。
そしてまた、ファンタジー世界を舞台にしているからこその活劇的な面白さもあり、現実世界にも通じる教訓もある。そんな意味でもとても高いレベルで調和がとれています。
確かに異色の、しかしまぎれもなく傑出したファンタジー作品です。
是非ご一読を。
魔王を倒して世界を救った勇者がその後、税金に苦しめられる異色のファンタジーです。
魔王軍の残党と、武力ではなく知略やエコノミクスで刃を交えます。
人類共通の敵がいなくなった平和な世界で、一般市民として暮らすことになる勇者一行。
打倒魔王に特化したジョブが役に立たなくなり、目標や行動指針をも見失った勇者・デビィドの元へ、かつての敵が国税局の徴税官として現れます!
税金、納税、滞納、徴収といったお金の流れが細部までリアルに描かれており、ものすごく勉強になります。
一次産業に携わる作者様だからこそ描ける密度なのでしょう。
そこに異世界ファンタジーの要素が綺麗に混ぜ込まれ、違和感のないストーリーに仕上がっています。
これからデビィドたちの反撃が始まるのか、そうでないのか、楽しみです。
【序盤で見限ると大損です】まず言っておきたいことは、『税金コメディ』なのは序盤だけということです。登場人物の立ち位置や状況を説明しつつ楽しませてくれるプロローグのようなものが『税金にいじめられるコメディ』になっており、これはこれで面白いのですが……しかし、本作の魅力はそこから先なのですよ。
そもそも序盤の税金の話も、税金で苦労するというエピソードより、税金というものを使った政略の話なのですよね。そして中盤以降は切れ者の国王率いる王国、復権を狙う魔王軍残党、それに抗うため必死に立ち回る勇者パーティ……政略に策略、利用して利用される。ひりつくような頭脳戦が始まるわけです。
正義のふりをした陰謀だらけ。敵対者同士が手を結び、協力者同士がいつ裏切ろうかと思案する。そんな謀略戦は、やがてまさかの展開に……。ここ、ネタバレ回避のため説明できないのが残念!
なおダークファンタジーというわけではなく、勇者パーティ内の会話はいつも和やかです。モロコス兄貴の筋肉は正義、スオーラちゃんは存在自体がポジ要素、ティエラ姐さんは実質的に主人公、勇者は……解毒できない毒とか飲んで死なない程度に苦しめばいいのに。
もっと語りたいところですが、あとは本編を読んでお楽しみください!