詩「肌」

肌を破り

罪を喰らうけもの

互いにみ合い

無窮むきゅう深潭しんたん


あだの火宅に棲まい

陋巷ろうこうに在りてなお

甘美なる膚理ふりねぶけもの


わたし達は

無限∞のヘビ

互いの罪を喰い合うケダモノ

永遠に終わらない地獄に堕ちる


儚い現世に生き

落ちぶれ貧しい暮らしをしていてさえ

人の不幸は蜜の味とむしゃぶりつく浅ましさを

ケダモノと言わずしてなんと言おうか


【解説】


古今東西、争いごとの種は消えず、他人から見れば馬鹿馬鹿しい紛糾ふんきゅうも、ひとたび自分が当事者になれば、◯◯が悪い、◯◯のせいだと言いたくなるのは、どうしてなんでしょうね。

愚かしくも愛おしいケダモノたちの世界に生きているのだなあ。

と、嗤いつつSNS社会を眺めている私もケダモノなのでしょう。


無窮むきゅう・・・永遠

深潭しんたん・・・深い淵 (ここでは地獄の意)

あだの火宅・・・儚い現世 (仏教用語)

陋巷ろうこう・・・狭く汚い路地。貧しい裏町。

膚理ふり・・・肌のきめ



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星々の糸 鳥尾巻 @toriokan

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