ごきげんよう。
道を挟んで我が家の目の前にあるお宅に老夫婦が住んでいます。
奥様は朗らかで優しい方で、家の前で季節の花々を丹精込めて育てています。
通りかかる近所の人達にも丁寧に挨拶して、時折話が弾んでいるのが、窓の外から聞こえてきます。
ちょっと口さがない方の黒い噂話も上手にいなして穏やかに日々を過ごしているようです。
向こうの話が聞こえるということは、月末ごとに発狂して奇声を発したり大声で歌っている私の声も届いているはずですが、外で顔を合わせても奥様の態度は終始和やか。
素晴らしい人格者です。
先日、私はゴミを出しに行く時に、あまりに寒かったのでパーカーのフードを目深に被り「おひょぉぉぉぅ!」と奇声を発しながら、両手で胸の前にゴミ袋を捧げ持ち、コソドロの定番仕草のようなつま先立ちで収集所まで小走りしていました。
ふと視線を感じてそちらに目を向けると、奥様がにこやかに微笑みながら私を見ていました。
「あ、あ、う」と挙動不審になる私に、奥様は「おはようございます。うふふ、今日も寒いですねえ」と挨拶してくださいました。
そこは私も一応大人ですから、何ごともなかったようにフードを外しご挨拶しました。
たおやかに見えて私の不審者っぷりに動じない胆力。
実は奥様、剛の者なのではないかと内心恐れ入りながら帰宅し、ストーブの前にうずくまって己の至らなさを反省したのでした。
徒に歳を重ねるのではなく、奥様のように柔らかくものごとを受け止めて、世界に優しさを還元していく人になりたいものだと思いました……。
……。
………。
ああ~!
仕事終わらーん!
ヤダ⁽⁽꜀(:3꜂ ꜆)꜄⁾⁾ヤダァァァ(反省台無し)