鐘古テイストを味わう倖せ

 本作にレビューを書きたいなと想っているうちに、ファンからのレビューが出揃っていて、完全に出遅れました。
 ので、簡単に。

『○○には三分以内にやらなければならないことがあった』『全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ』、これと、自主企画の三題噺『広告・元素・陰謀』をあわせて、まあ、感心するほどお見事でした。

 きりりとした女性が鐘古さんの得意とするヒロイン像ですが、それを生かし、突き進むバッファローに意味をもたせ、広告と元素と陰謀を拾い、三分以内に何かをしなければならない理由をきちっとつけて、あのラスト。
「わあすごい」と脱帽しました。

 自分のことは自分でケリをつける。この誇り高さをのぞかせる鐘古ヒロイン。怒りと不満の象徴のバッファローを俯瞰し、軽蔑の眼で「そこには加わらない」と決別したものの、ふたたび戻ってきた彼女。
 荒れ狂う箱庭に捜すのは、幾度も彼女を引き寄せてきたあの人の気配。そして彼から届く彼女へのメッセージ。しかし。

 鐘古ファンにとっては満足度がとても高い作品でした。うまいですよね。

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