おばあちゃんが感じた恐怖
久石あまね
夢の世界で
今日は土曜日。
明日は何も予定がない日曜日。
牧歌的な日曜日。
青年は目覚まし時計をセットせずに眠りの中に入っていった。
青年は夢を見ていた。
小学校の教室。
児童たちがワチャワチャとやかましく話し合っている。
少年は斜め前のミキちゃんと話している。ミキちゃんは少年をいじめたりしていた。
ミキちゃんは意地悪で少年を苛立たせた。
少年はミキちゃんを思い切り蹴ったり、殴ったりした。
ミキちゃんは何も反撃したりしてこなかった。
ここは夢だ。
何をしてもいいはずだ…。
次に少年は西洋ファンタジーに出てくるような洋館のなかにいた。
風がビュービューと窓の外から入ってきてカーテンがめくれ上がっている。
すると隣の部屋から人間の声が聴こえてきた。
隣の部屋は隠し通路で繋がっており中の様子がわかった。
28歳ぐらいの坊主頭の男性が奇声を発して裁縫をしていた。
破れたカーテンを縫っているのだ。
僕は底しれぬ恐怖を感じた。
そして僕はまた学校に戻った。
どういう方法で学校に移動したかはわからない。
学校ではよく忘れ物をしていた。友達の顔もわからなくなっていた。
ミキちゃんの名前もわからなくなっていた。
でも嫌なやつだなというのはなぜか覚えていた。
僕は学校から帰るとお母さんに病院に連れて行かれた。
小児科医のおじさんとおじいちゃんの間ぐらいの見た目の先生に簡単なテストをされた。
僕はテストは簡単にクリアできると余裕を感じていたが、実際には全然余裕には解けなかった。
僕はおかしいな感じた。
なぜだろう。
先生はお母さんに解けない理由を説明していた。
お母さんは、はいはいといった具合に聞いていた。
僕は直感的に若年性認知症だなと感じた。
その診断のあとから僕は自分の人生に絶望感を感じた。
心の光が見えない力で覆われていくような感じだった。
僕は立っているのもしんどくなり、座りこんだ。
お母さんはそんな僕をみて、お母さんがいるから大丈夫だよといった。
僕はその言葉を聴き安心したが、やはり絶望感はまだ残ったままだった。
そして僕は目が覚めた。
27歳の僕のおばあちゃんは今、認知症で入院している。
神様は僕におばあちゃんが感じた恐怖を体験してもらおうとしたのかもしれない。
この夢を見るまで僕はおばあちゃんのことを考えもしなかった。
おばあちゃんはまだ生きている。
おばあちゃんに会いに行ってみようかなと思った。
おばあちゃんは僕のことを覚えているかどうかはわからないけど。
そして僕はおばあちゃんにこう言いたい。
「僕がいるから大丈夫だよ」
夢の中でお母さんが僕に言ってくれたように。
おばあちゃんが感じた恐怖 久石あまね @amane11
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